自分に何かいいことがあったら、
それ相応のダークさの本を
読むようにしています

──齋藤さんの本にまつわる一番古い記憶は、どんな記憶ですか?

齋藤小学校に入る前は動物図鑑が好きでした(笑)。わりと分厚めのやつで、すごいお気に入りで。いつも持ち運んでて(笑)。それでイヌの種類にはこういうのがあるんだっていうのを全部覚えて、両親に聞いてもらってました。

──イヌのページばっかり見てたんですか?

齋藤イヌとネコの種類は結構覚えてましたね。

──齋藤さんは子供の頃から本を読むのが好きだったんですか?

齋藤そうですね。ちっちゃい頃、小学生の時は結構ファンタジー系の本をよく読んでましたね。

──例えば『ハリーポッター』とか?

齋藤読んでましたね! でもやっぱりちっちゃい頃から合わなかったのか、そういうシリーズ系も最後まで読み切ったことがないし、途中で止めてしまってたことが多くて……。私、小学校3、4年生の時にすごい性格が変わったんですよ。すごく暗くなっていったんですけど、そしたら読む本も暗くなっていって(笑)。そしたら読み切れるようになったので、“ああ私はこっちなんだ”と思って、それからはずっと暗くて重い本ばっかり読んでました。

──3、4年生の時に何があったのか気になるところですが(笑)。暗くて重い本というところで、“最近ハマった作家”が安部公房というのも納得です。

齋藤そうなんですよ。最近読んでハマってしまいました。

──ちなみに何を読まれたんですか?

齋藤『砂の女』を初めて読んで、“なんだこれは?!”と。今まで貫井さんがトップだったんですけど、一瞬で並びました。

──ただ、安部公房はファンタジーではないけれど、非現実的な世界を描いてることが多いですよね。

齋藤確かに現実的ではないんですけど、表現がすごくて、どこかの国ではこれが実際に起こってるんじゃないかと思えちゃうのがすごいなと思いました。

──齋藤さんはどんなふうに本を選んでいますか?

齋藤基本的には人に薦められたものは読むようにしていて、自分で買う時にはインターネットで調べることもあるんですけど、だいたいは本屋さんに行って、裏表紙のあらすじと、帯に書いてある文章を読んで。あと、最初と最後のページを読んで、“これ、いけるな”って思った本を買います。

──手にする基準はというと…。

齋藤暗いもの、暗そうなもの、ですね。

──どんなシチュエーションで本を読むことが多いですか?

齋藤多いのは家かな。移動中も読みますけど、でも一番は家の寝室の隅の方で、すごく縮こまって読むのが好きです(笑)。

──それはなんでしょう? 落ち着くんでしょうか(笑)。

齋藤狭いところが好きで、体を縮めるのもすごい好きなんです。なんだろう、暗いものばっかり読むから、暗い気持ちになって読みたいんですかね(笑)。

──暗い音楽を聴く時に、部屋を真っ暗にするみたいな。

齋藤そういう感じかもしれないですね。自分に何かいいことがあったら、それ相応のダークさの本を読むようにしていて。

──えぇっ?! それはどういうことですか?

齋藤良いことがあると悪いことがあるじゃないですか、必ず。だから、自分にすごい良いことがあった時に怖くなっちゃうんですよ。次はどんな悪いことがあるんだろうって。だからダークなものを読んで、精神のバランスを保つんです(笑)。

──それはまた興味深い(笑)。齋藤さんの中の暗いものって、どういうものを指してますか?例えばホラーとかも暗いですよね。

齋藤ホラーは苦手なんです。『微笑む人』みたいな、人間の汚い部分とか悪い部分が出ている作品がすごく好き。ドロドロ系が好きですね。

──人間の怖い部分が出ているような。

齋藤そうなんです。なんか、人間って期待していたものから裏切られた時にストレスが結構かかるらしいんですよ。そんなことは絶対に嫌だし、もともと17年間生きてきた中で、あんまり世の中に期待しないっていう生き方が身に付いていて(笑)。

──一体何があったんですか、3、4年生の時に。

齋藤なんかあったみたいなんですよ(笑)。でも、その方がいっぱい幸せを見つけやすいので、私としてはその生き方でいいんですけど。あんまり万人受けしないっていうのは分かってます(笑)。

──暗いものや怖いもの、悪いものに惹かれる心理ってありますよね。

齋藤ありますよね! 好きなアニメのキャラクターでも、並べてみると悪役ばっかりですよ。

──悪役の方が美学を持っていたりしますもんね。

齋藤わかります! そういうのにも惹かれますね。

──乃木坂46の他のメンバーに本をお薦めしたり薦められたりすることはありますか?

齋藤私はあんまり薦めることはないんですけど、薦められることは多いです。結構メンバーはみんな、どこかで暗い部分も持っている人が多いと思うので。あ、これはいい意味ですよ(笑)。だから休憩中に本を読んでいる子も多いですし、この作家さんいいよって情報交換することも結構あります。

──これから読んでみたい本や作家さんはありますか?

齋藤私、結構はまったらそればっかりになっちゃうので、貫井さんもずっと一途に読んでいるし、まずは貫井さんが出された本を全部読み切りたいですね。それから安部公房さんにいきたいです。

──では最後に、2016年の抱負を教えてください。

齋藤2015年は私の環境がすごく変わった一年でした。1月から(ファッション雑誌)『CUTiE』をきっかけに、今は『sweet』に出演させていただいたり。一年を通してバタバタして、あんまりついていけてない部分が自分の中であったので、2016年はもうちょっと余裕をもって活動できたらいいなと思います。

インタビュー・文 / 大窪由香
撮影 / 田里 弐裸衣

齋藤飛鳥さんが好きな本を
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微笑む人

貫井徳郎

実業之日本社

エリート銀行員の仁藤俊実が、「本が増えて家が手狭になった」という理由で妻子を殺害。小説家の「私」は事件をノンフィクションにまとめるべく、周辺の人々への取材を始めた。「いい人」と評される仁藤だが、過去に遡るとその周辺で、不審な死を遂げている人物が他にもいることが判明し……。理解不能の事件の闇に挑んだ小説家が見た真実とは!? 戦慄のラストに驚愕必至! ミステリーの常識を超えた衝撃作!

世界は密室でできている

舞城王太郎

講談社

15歳の僕と14歳にして名探偵のルンババは、家も隣の親友同士。中三の修学旅行で東京へ行った僕らは、風変わりな姉妹と知り合った。僕らの冒険はそこから始まる。地元の高校に進学し大学受験――そんな10代の折々に待ち受ける密室殺人事件の数々に、ルンババと僕は立ち向かう。鮮烈!新青春エンタ!! (講談社文庫)

アヒルと鴨のコインロッカー

伊坂幸太郎

東京創元社

大学入学のため引っ越してきたアパートで、最初に出会ったのは黒猫、次が悪魔めいた長身の青年。初対面だというのに、彼はいきなり「一緒に本屋を襲わないか」と持ちかけてきた。標的は――たった一冊の広辞苑。僕は訪問販売の口車に乗せられ、危うく数十万円の教材を買いそうになった実績を持っているが、書店強盗は訪問販売とは訳が違う。しかし決行の夜、あろうことか僕はモデルガンを持って、書店の裏口に立ってしまったのだ! 四散した断片が描き出す物語の全体像とは? 注目の気鋭による清冽な傑作。第25回吉川英治文学新人賞受賞作。

PROFILE

齋藤飛鳥

アイドルグループ、乃木坂46のメンバーとして2012年2月にシングル「ぐるぐるカーテン」でメジャーデビュー。3月23日(水)に14枚目のシングルをリリースする。また、女性ファッション誌「sweet」のレギュラーモデルも務める。