Aug 10, 2016

特集340

〈沖縄クラフト〉南城市「gallery k.」 国内だけでなく海外からもファンが訪れる、その“器”の魅力とは?

カフェ巡りをしながら出会うスタイリッシュなスーベニアを、沖縄在住の編集部が自信をもってセレクトしたガイドブック『SOUVENIR & CRAFT OKINAWA』。 沖縄本島南部、南城市で制作活動をしている木工作家、藤本健さんをご紹介。

 

リムの広い平皿、大皿、椀、カップ、カトラリーまで、作品の種類は実に豊富。どれひとつとして同じものがない。テーブルに木の器を並べると美しい食卓になる

リムの広い平皿、大皿、椀、カップ、カトラリーまで、作品の種類は実に豊富。どれひとつとして同じものがない。テーブルに木の器を並べると美しい食卓になる

 

 のびやかな空気に包まれ高台から眺める海の美しさに心打たれる本島南部。海辺から少し離れた濃密な緑あふれる場所に、藤本健さんのギャラリーはある。白い小道を進んだ先の隠れ家のようなその空間には、木の力強さを活かした器が凛とした佇まいで並んでいる。穴があいていたり、ゆがんでいたり。自然のままの木の姿が見え、ほかにはない器だ。

 

木肌を活かした自然な風合いのもの。漆を塗ってマットに仕上げたもの。器の表情はさまざま。アカギやホルトノキなど、器の多くは沖縄の木で作られている

木肌を活かした自然な風合いのもの。漆を塗ってマットに仕上げたもの。器の表情はさまざま。アカギやホルトノキなど、器の多くは沖縄の木で作られている

 

 かつて藤本さんは家具を作っていたという。オーダーメイドの家具を寸分違わずに完成させる職人仕事。器作りへと移行していったのは、純粋な好奇心から。

「器を作ってみたら想像以上におもしろかったんです。家具作りより自由度が高くて性に合っていたんですね」

 藤本さんの器作りには大きな特徴がある。一般的には形が変化しないように乾燥させた木材を削って成形するのだが、藤本さんは水分を含んだ生木を削り、成形してから乾燥させている。すると水分が抜ける過程で、おもしろいように器が変形していく。右や左に傾いたり、フチが立ち上がったり、ヒビが入ることもある。最終形がまったく見えない作り方だが、藤本さんはその変化を楽しんでいる。

「自分の力が及ばないところ、デザインコントロールできないところがおもしろくて。成形するときにもキメすぎず、一歩引くくらいのところでとどめています」

 それは余白を残し、あとは木の性質に委ねる作業。どんな仕上がりになるかわからないワクワク感が作品に宿り、だから藤本さんの器の前に立つと心が弾むのだろう。その気持ちが伝わってきて、自然にすっと手がのびてしまう。

「器はどれも撥水加工をしています。スープやドリンクを入れてもいいし、ドレッシングやソースたっぷりのおかずを乗せても。メンテナンスは気づいたときにオリーブ油などをすり込めばOKです」

 

表面がざらりとしたこの器は、漆を塗ったあとに木の粉をまいて、さらに漆を重ねたもの。白漆で仕上げた上面の繊細な風合いを活かしたいから、盛りつけは余白を残したい

表面がざらりとしたこの器は、漆を塗ったあとに木の粉をまいて、さらに漆を重ねたもの。白漆で仕上げた上面の繊細な風合いを活かしたいから、盛りつけは余白を残したい

 

 木の器は案外扱いやすい。手に包んだときも口当たりも優しく、何よりテーブルにひとつあるだけで、食卓にぐっと温もりがこもる。和風・洋風どんな料理も受け止め、フルーツやデザートを乗せてもいい。懐が深く、実に大らかな存在。

 木と向き合いながら、器作りの常識やルールを少しずつ外してきた藤本さん。自分らしさをていねいに探りながら、まだまだ作品は進化中なのだとか。ギャラリーには、旅に相応しい一期一会の器が並んでいる。

 

藤本健さん 主に木工旋盤を使い、割れやゆがみもデザインとしてとらえた個性豊かな器を作る。最後は木の力に委ねるので、ほかにはない器が生まれる。県内外をはじめ、海外からも作品を求めて訪れるファンが多数

藤本健さん 主に木工旋盤を使い、割れやゆがみもデザインとしてとらえた個性豊かな器を作る。最後は木の力に委ねるので、ほかにはない器が生まれる。県内外をはじめ、海外からも作品を求めて訪れるファンが多数

 

gallery k.
ギャラリー ケイテン

住所:沖縄県南城市玉城屋嘉部123‐1
TEL:090‐9781‐3481
通販:不可
営業時間:要問い合わせ
定休日:不定休
駐車場:あり
アクセス:那覇空港より車で約35分
www.yakabu123.com/k

*掲載の情報は2015年11月時点のものです。発刊後の掲載内容(営業時間、定休日など)のデータにつきましては、お店の都合により変更になる場合があります。予めご了承ください