Jun 10, 2019 regular
ブロードウェイ here and now

ハデスタウン / Hadestown

ミュージカル
ブロードウェイ
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トニー賞 最優秀「ミュージカル作品賞」「ミュージカル助演男優賞」「ミュージカル演出賞」「ミュージカル装置デザイン賞」「ミュージカル照明デザイン賞」「ミュージカル音響デザイン賞」「オリジナル楽曲賞」「オーケストラ編曲賞」最多8部門受賞!

※以下の記事は「トニー賞直前!注目ミュージカルBest3レビュー」からの抜粋です。


演出、脚本、助演男優、オリジナル楽曲、装置デザイン、照明デザインなど14部門でノミネートされている。ギリシャ神話を投影して現代的に仕上げたミュージカル作品。舞台は昔のニューオリンズなどのアメリカ南部の富豪の屋敷を改造したようなバーだ。工夫に富んだ立体的な大道具や、珍しい照明デザインに目を奪われる。せり上がりや盆舞台も豊富に取り入れられている。地の底にある死の世界や、それをモチーフにした炭鉱で働く坑夫のシーンでは、スモークが頻繁に使われ、現代の物語が神々の語りと調和し、観ているこちらを詩の世界に引き込む。楽曲はフォーク・ロックにソウル・ミュージックやブルースを含む多数の異なるスタイルとジャンルが盛り込まれていて新鮮だ。

作品はヘルメスというバーの仕切り役が、ストーリーの進行役を務めている。ヘルメス(エルメス)はバッグのブランドとして有名だが、ギリシャ神話では神々と読み手の間で、客観的な解説を交えながらメッセージを伝える役割を与えられていることがある神様だ。演ずるアンドレ・デ・シールズは、50年の長きに渡って俳優、演出、作家、振り付けをしてきた73歳の大ベテラン。演劇では始まりのところで如何に観客の心を掴んでストーリーに引き込むかが非常に重要だ。ネタバレになってしまうので詳細は語れないが、幕が上がりアンドレ・デ・シールズがゆっくりと登場し、見事に観るもの心を掴む技は一見に値する。また運命の三女神が唄うアカペラの迫力と歌唱力も楽しんでもらいたい。

冥界の王ハデスは、妻にしようと地上世界からペルセポネをさらってきた。一方オルフェイスは恋人エウリュディケを追って冥界へ赴くが…。それぞれの神々は、人間的な弱さから愚かな選択をしてしまう。そんな彼らに観客の気持ちが自然と寄り添う。手の込んだジョークに笑ったり、アメリカ的豪華さを楽しむ、というよりは、洗練されたセンスと芸術性に浸れる作品に仕上がっている。

文/井村まどか

Walter Kerr Theatre
219 W 48th St
New York, NY 10036
上映時間 2時間30分(15分の休憩1回)
SCORES
舞台セット
10
作詞作曲
9
振付
9
衣装
9
照明
9
総合
9
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井村 まどか

ニューヨークを拠点に、ブログ「ブロードウェイ交差点」を書く。NHK コスモメディア社のエグゼクティブ・プロデューサーで、アメリカの「ドラマ・デスク賞」の審査・選考委員も務める。 協力:影山雄成(トニー賞授賞式の日本の放送で、解説者として出演する演劇ジャーナリスト)

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