Apr 26, 2019 regular
ブロードウェイ here and now

ディア・エヴァン・ハンセン / Dear Even Hansen

ミュージカル
ブロードウェイ
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若者の不器用で繊細な心のうちに焦点を置いたこのストーリーは、オフ・ブロードウェイを経て、2016年にブロードウェイでオープンし、2017年にトニー賞のミュージカル作品賞をはじめとする6つの賞に輝いた。若者が大人になっていく過程の苦しみがテーマで、笑える場面は少ないので、「今夜はミュージカルでファンタジーな世界を楽しむつもり」の方には向かないかもしれないが、楽曲も良くできていて、観がいのある作品になっている。

とても不器用で、人と接するのが極度に苦手な17歳のエヴァンには友達もいない。母子家庭に育ち、母親は仕事で忙しく殆ど家におらず、彼はそんな寂しさを紛らわすために、自分に手紙を書いたりする青年だった。

ある日彼は木から落ちて腕を折ってしまい、ギブスをつける。日本でも今ではそういうこともあるらしいが、 アメリカでは昔からギブスに親しい人達が寄せ書きやサインをする習慣がある。たくさん友達がいれば、文字がつまったギブスになるし、友達がいなければ真っ白なギブスのまま。そして彼のギブスは白いままだった。

自分と同じ高校に通い、やはり社会に馴染まない一匹狼タイプの青年コナーに、勇気を振り絞って「ギブスにサインしたい?」と話かけてみるが、反対に気味悪がられてしまう。 ある日、そのコナーが自殺する。エヴァンが自分宛に書いた心の中を打ち明ける手紙を、あるきっかけでコナーの両親が見て、自殺した息子がエヴァンに宛てた手紙だと勘違いし「息子にも友達がいたのだ」と、藁をも掴む気持ちで息子の人生に何かの意味を見つけようと、エヴァンを家に呼ぶ。

エヴァンは、自分を息子のように暖かく受け入れてくれるコナーの両親を喜ばせたい気持ちと、そんな二人の元で感じる幸せなひと時を持ち続けたいという気持ちから、息子についていろいろと問いかける両親に、コナーと一緒に過ごした楽しかった時の話など、まったくの空想のでっち上げ話を伝えてしまう。

コナーの自殺は学校でも大きな同情を呼ぶニュースとなったが、嘘が嘘を呼び、しまいにはソーシャルメディアでコナーの親友だったと発表されたエヴァンは一躍学校中の人気者になってしまう。 「社会は自分の存在など全く気づかない」という疎外感と孤独に耐えていたエヴァンは、一躍誰もが親しくなりたい人気の存在になったが…。 

文/井村まどか

Music Box Theatre
239 W 45th St
New York, NY 10036
上演時間:2時間25分(15分の休憩含む)
SCORES
NY Times
9
New Yorke
8
Variety
9
舞台セット
9
作詞作曲
9
振付
5
衣装
7
照明
8
総合
8
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井村 まどか

ニューヨークを拠点に、ブログ「ブロードウェイ交差点」を書く。NHK コスモメディア社のエグゼクティブ・プロデューサーで、アメリカの「ドラマ・デスク賞」の審査・選考委員も務める。 協力:影山雄成(トニー賞授賞式の日本の放送で、解説者として出演する演劇ジャーナリスト)

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