Jan 27, 2019

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『サスペリア』2作を徹底比較! オリジナル版との違いとこだわり、解釈のヒントを解説

 

名作映画のリメイクはこれまでも何度も行なわれてきたが、カルト的な人気を誇る作品の“再生”は非常に難しい。1977年の『サスペリア』で、そんな高いハードルに挑んだ話題作が公開された。監督は『君の名前で僕を呼んで』(17年)のルカ・グァダニーノで、音楽にレディオヘッドのトム・ヨークを起用。オリジナルの魂を受け継ぎながら、まったく新しい『サスペリア』が誕生した。いったい何が同じで、どこが新しいのか? 監督が仕掛けた信じがたい演出など、見どころを紹介していこう。

 

70年代ホラーの名作、グァダニーノ監督念願のリメイクが実現

 

「決して、ひとりでは見ないでください」。
1977年、そんなキャッチコピーが話題になり、日本でも社会現象的なブームを起こしたホラー映画。それが『サスペリア』だ。

『エクソシスト』(73年)、『オーメン』(76年)、『キャリー』(76年)と、ホラー映画というジャンルを革新するヒット作が相次いだ1970年代。『サスペリア』は、ダリオ・アルジェントというイタリアの監督が撮ったという点で、そのブームの中でも異彩を放ち、長く映画ファンの記憶に刻まれることになった。

約40年を経て、名作『サスペリア』の待望のリメイクが実現した。新たに監督を手がけたのは、やはりイタリア出身のルカ・グァダニーノだ。前作『君の名前で僕を呼んで』がアカデミー賞で作品賞など4部門にノミネートされ、今や世界を代表する巨匠となった彼が長年、温めてきた企画を実現させたのである。

 

 

オリジナル版と同じく、今回もメインのキャストは女性たちである。アメリカのボストンから、ダンス・カンパニーに入団するためにドイツ、ベルリンにやって来る主人公のスージーを演じるのは、『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』(15年)でも主演を務めたダコタ・ジョンソン(メラニー・グリフィスとドン・ジョンソンの娘)。スージーを信じがたい世界に導く、ダンス・カンパニーの振付師、マダム・ブラン役は、存在自体が魔女のようなティルダ・スウィントン。そのほか、『キャリー』のリメイク版で主演を務めたクロエ・グレース・モレッツ、1977年の『サスペリア』でヒロインを演じたジェシカ・ハーパーら、共演者にも“ソソる”メンバーが揃った。

注目したいのは音楽で、オリジナル版もイタリアのプログレッシブ・ロック・バンド、ゴブリンによるテーマ曲が、映画と同じくらい世界にインパクトを与えた。今回、音楽を任されたのはレディオヘッドのトム・ヨーク。映画音楽を手がけるのは今回初となるが、作品における音楽の重要性は、前作と同じである。

では、新たな『サスペリア』は、どんな作品なのか。オリジナル(以下、「77年版」)とどう違うのか。いくつかの側面から見どころを紹介しよう。

 

コンテンポラリー・ダンスとホラーの融合による、かつてない斬新な映像

 

77年版『サスペリア』(Blu-ray 発売中) ©1976 SEDA SPETTACOLI S.P.A.DESIGN AND ARTWORK ©2004 CDE / VIDEA ©2001 MAGNUM MOTION PICTURES, INC. ALL RIGHTS RESERVED

 

ストーリーの基本は同じである。ダンス・カンパニーに入団するためにアメリカからドイツにやって来た主人公のスージー(役名も同じ)が、女性だけのそのカンパニーに隠された恐ろしい秘密に巻き込まれていく。77年版ではニューヨークからドイツのフライブルクへ、今回はボストンからベルリンという違いがあるものの、新作の時代背景も1977年である。基本的な違いは、ダンス・カンパニーで、77年版ではクラシック・バレエの寄宿学校だった。今回はコンテンポラリー・ダンスのカンパニーである。このあたりはダンスに詳しくない人にはどうでもいいかもしれないが、77年版でのバレエやバレエ学校という要素はあくまでも“設定”で、その裏に隠れた、女性だけの悪魔的集団がストーリーの中心だった。ダンスシーンも付随的である。

 

 

しかし今回は、ダンスが重要なポイントを占めている。カンパニーの主宰者であるマダム・ブランの振付や、スージーが自分の実力を披露するダンスシーンが、カンパニーの秘密の儀式とリンクしていたりするからだ。ダンスとホラー。その融合は、かつてない斬新な映像を生み出した。おぞましさや恐ろしさも意識しつつ、アート的でもある。ちなみにマダム・ブランのモデルになっているのは、ドイツ出身の世界的な振付家で舞踊家のピナ・バウシュや、20世紀のモダンダンスの第一人者であるマーサ・グレアムで、ダンスという芸術への目配せが濃厚に感じられる。だからと言って“オシャレ”なアート映画ではなく、女性たちのダンスパフォーマンスには過激な衣装も使われたりして、エロティックなムードも満点。ダンスに興味のない観客も、目がクギづけになるはずだ。

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