Feb 18, 2018

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若者たちのリアル、普遍的な“愛”。岡崎京子作品が時代を超えて愛され続ける理由

1980年代から1990年代にかけて多くの作品を発表し、圧倒的な支持を得ている漫画家・岡崎京子。事故によりペンが持てなくなった後も、2003年に単行本化された『ヘルタースケルター』で、文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞や手塚治虫文化賞マンガ大賞を受賞。そして2018年は『リバーズ・エッジ』が実写映画化されるなど、時代を超えて愛され続ける岡崎京子作品の魅力を、代表作を振り返ると共に紐解いていきたい。

 

閉塞的で、でもどこか自由な“若者”たちを、鮮やかにリアルに表現

 

SNSも、インターネットも、携帯電話も手軽には手にできなかったあの頃。大人でも、子供でもない、自我が完全に目覚めた10代のあの頃。自分が何者でもないと分かりながらも、きっと、何者かになれると信じていたあの頃。自分の中では消化しきれないふつふつとした思い。その衝動をどこにぶつけて良いのか全く分からないからこそ、求めてしまう相手。それは友達なのか、恋人なのか、一人じゃないと感じるためのセックスなのか、ドラッグなのか、それとも――。出口のないトンネルにいるような毎日を送る“若者”の頭の中は、自分ではどうしようないからこそ、誰か他人がどうしようなんて思ったところで救えることはない。だから衝動的に相手を求め、その結果得ることの出来た自分の存在意義を感じ、少しの安心と共に毎日を過ごしているのだ。きっと、この感覚は、10代を過ごした人たちなら誰もが経験のあることだろう。

そんな、閉塞的で、でもどこか自由で、この時期にしか感じることの出来ない思いを鮮やかに、リアルに、ヴェールに包まず隠すことなく表現した漫画家、それが岡崎京子だ。彼女は、その鬱々としつつも、エモーショナルで爆発的な“陰”の部分だけでなく、“オシャレ”という陳腐な言葉では語れないような、最先端のファッションを身に着けて、時代を味方にし、都会を自由に闊歩するような“陽”の女性像も鮮やかに描いた。だからこそ岡崎京子作品は、当時“若者”として生きていた人たちにセンセーショナルに、そして漠然ともやもやとしていた毎日に「これでいいんだ」と思わせてくれるだけでなく、その感覚が「カッコイイ」とさえ感じさせてくれたのだろう。

交通事故から20年あまり。全身整形で美しくなったモデル・りりこを沢尻エリカが演じた映画『ヘルタースケルター』(12)に続き、岡崎京子の代表作の一つである『リバーズ・エッジ』が二階堂ふみ主演で映画化された。行定勲監督がメガホンをとった今作では、鬱々と、でも毎日を必死に“生きる”90年代の若者たちの姿が描かれている。さらに、岡崎京子と長年、深い親交を持つ盟友であり、彼女の“王子様”である小沢健二が書き下ろした主題歌「アルペジオ(きっと魔法のトンネルの先)」も話題を集めている。

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