Nov 08, 2017

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映画館でその凄さを体感して欲しい! 11月公開の海外アニメ作品『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』と『ゴッホ ~最期の手紙~』

僕も含めてだが、ふだん見ているアニメはTVで日常的に見られる「2Dの昔ながらのセル風アニメ」か「CGアニメ」という人がほとんどだと思う。とはいえ実際は、この2種類以外にもアニメーションの手法というのは多様にあり、アニメやCGはあくまで「現在、その手法で作られた作品が大多数」というだけのことだ。
他の手法とは、たとえば人形アニメといったストップモーションや、手描きのイラストが動くものなど。見る機会が限られてしまうかもしれないが、アニメーション作家による短編作品でも幾多の変わった手法による作品が制作されている。

しかし一般的に目にしやすい劇場用長編作品などとなると、制作にかかる手間の膨大さもあり、わずかしかなく、ましてそれが海外作品となると日本公開がされること自体が多くはない。だが、芸術の秋だから…というわけでもないだろうが、この11月にはどういう巡り会わせなのか、そういった「2DアニメでもCGでもないアニメ長編作品」。それも海外作品がいくつか一般上映される。

アメリカの『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』の日本公開が決まったとき、待ち望んでいた映画ファン、アニメファンは「ようやく!!」と胸をなで下ろし期待にわいた。本国では2016年に公開され、アカデミー賞での2部門ノミネートをはじめ数々の賞を獲るほどの高い評価を得たのだが、日本公開はずっと未定だったのだ。

11月18日公開『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』

『クボ』は、『コララインとボタンの魔女』(09)、『パラノーマン ブライス・ホローの謎』(12)を制作したアメリカのアニメーションスタジオ・ライカによるストップモーションアニメ作品。しかも日本を舞台としたファンタジー。
ストップモーションアニメとは、人形や粘土や紙などといった物体を少しづつ動きを変えながら1コマづつ撮影していくアニメーションの手法。古くからある手法なので、多くの方がテレビCMやNHKの『みんなのうた』などで映像を見たことがあるだろう。
いまだにキャラクターグッズが人気の『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』(ティム・バートン製作)もそうだ。元々アニメーター出身であったバートンはこの手法が好きで、自身の監督作として『コープスブライド』『フランケンウィニー』も製作・監督している。ちなみに、その『コープスブライド』の制作に携わったことでライカは注目をされることになった。

本国に遅れること1年を経て10年に日本公開された『コララインとボタンの魔女』は、そのあまりにも独特な映像とキャラクター、そしてダークファンタジーでありながらも心に響く物語もあり、日本にも多くのファンを生み出した。長編第2作目の『パラノーマン ブライス・ホローの謎』は、ホラーテイストのコメディ作品。自分たちに理解できないもの・自分たちと違うものを恐れること、それが生むもの、そしてそこに向かい合うことのドラマをジュブナイルの枠の中で見事に描いている。

人形アニメの手法は、基本的にクラシックでありアナログである。だが、その制作過程はデジタル技術の進歩をも面白く使っている。『パラノーマン』以降のライカ作品では人形の顔の製作に3Dプリンターが用いられており、その表情の動きは全く情報が無いまま見た人はCGだと勘違いしてしまうほどの精度となめらかさ。それでいて全体は人形アニメの柔らかさや温度があり、CGにもセルアニメにもない独特の動きが表現されている。ライカの作品ではさらにこれらの人形にデジタル的な背景やエフェクトの合成なども用い、独特の映像美を生み出している。今や世界でもトップレベルのストップモーションアニメスタジオになったライカは古くからある手法をただそのまま続けていくのではなく、表現手段としてのアップデートを絶えず行っている。
映像手法だけでなく、大人にもぐさりとくるストーリーもあり、観客の心を掴んだ。ライカの作品はすでに日本でも一部に熱狂的なファンがいて、僕も『コラライン』を見て魅せられた1人だ。『クボ』の日本公開まで待ち切れず、早々に北米版のソフトを取り寄せて見た人までいるほどだ。

日本のライカファンがこの公開を喜んだのにはもう1つ理由がある。海外長編アニメの日本公開が縮小傾向にある中、ライカの前作『The Boxtrolls』(14)は様々な賞に輝く高い評価を得、興行的にも成功したにもかかわらず、結局(2017年現在になっても)日本では劇場公開どころかソフト化も配信すらもされていないのだ。そのため『クボ』の日本公開にも不安が持たれていた。

とにかく公開は決まった。これまでに日本で見ることが出来たライカ作品を考えれば面白さは十分に期待が出来る。予告などでの映像だけでもため息が出るほどで、いったいどのような作品なのかワクワクして待ちたいところだ。欲をかいた希望を記せば、大ヒットをしてくれれば前作『The Boxtrolls』も日本で目にすることが出来ることに繋がるかも知れない。

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