Mar 06, 2017

ニュース

アイドル“戦国時代”の新たなムーブメント「楽曲派アイドル」とは?

「アイドル戦国時代と言われて久しい」と言われてから、ずいぶん久しい。

確かに「アイドルというコンテンツのピークは既に過ぎている」という向きもある。その一方で「シーンとして定着し、さらなる進化・発展を遂げている」と見る向きもある。
ちなみに、2015年、2016年のオリコン・シングルランキングを見てみると、AKB48を筆頭とする48グループ、乃木坂46や欅坂46の坂道シリーズ、そして嵐という顔ぶれは変わっていない。ここでは女性アイドルに絞って論じるが、2016年は坂道シリーズが躍進し、48グループはセールスを維持しながらも、目立った新勢力の台頭は無かったと言えるだろう。

だが、これはあくまでチャート上の話。

上記のような「チャート常連」のメジャーアイドルを除けば、昨今はライヴハウスを主戦場とする“ライヴアイドル”がシーンの中核を成している。

そうした“現場”では、様々な創意工夫が凝らされ、刺激的な実験が試みられ、多様な表現が生まれている。
ある調査報告によると、2015年のアイドル・ライヴ市場は前年比約30%増とのことで、それは2016年以降も拡大傾向にあるという。こうしたライヴアイドルたちは、チャートを席巻したり、日常的にTV出演するわけではないが(今やこれらのメディアはシーンの熱量を正確に映し出す指標とは言えない)、ライヴハウスという現場で多様な層に享受されているのだ。

そんな中でも注目すべきは“楽曲派アイドル”である。

“楽曲派”とは元々、アイドルを容姿やキャラクターなどのアイドル的要素で評価するのではなく、あくまで楽曲で評価するリスナーのことだが、やがて、そうしたリスナーの耳に叶うような優れた楽曲を主要な“武器”としながら“戦国時代”を生き抜こうとするアイドルが次々と現れた。それが“楽曲派アイドル”である。

現在国内で活動するアイドルは数千組と言われている。そんな群雄割拠の中、当初はAKB48やももいろクローバーZなどを雛形としたグループが数多く見られたが、それに追随するばかりでは埋没してしまう。
そこで、コンセプトやキャラクター、ヴィジュアルなどあれこれと工夫を凝らして差別化を試みることとなるのだが、中には楽曲で個性を打ち出そうとする面々も現れる。

オーセンティックなファンクサウンドを標榜するアイドル。捻りの効いたニューウェイヴ・ポップを鳴らすアイドル。洗練されたシティポップや静謐で緻密なポストロック、さらにはシューゲイザーやラウドロック、パンクにヒップホップまで…。

それが類型的なアイドルサウンドから逸脱すればするほど、個性となりセールスポイントとなりうるのだ。今や“解放区”と化したかのようなアイドルシーンでは、気鋭のクリエイターたちが自由闊達な筆致と解放感に充ちた色彩でその創造性を存分に発揮している。

あたかも、新たな創作の場を得たことで嬉々とする前衛芸術家のごとく。あるいは、”アイドル”という磁場に足を踏み入れることで予期せぬ化学反応を期待する実験者のごとく。はたまた、果たせなかった夢を“我が娘”に託す親のごとく。

この記事が気に入ったらクリック

SNSでシェア

このエントリーをはてなブックマークに追加