Jul 14, 2017

インタビュー

「ヤなことそっとミュート」の魅力に迫るロングインタビュー

今、最も勢いのある“ライヴアイドル”である。

今や激しいロックを標榜するアイドルは珍しくもないが、この「ヤなことそっとミュート」(以下「ヤナミュー」と略)は、本格的なグランジ/オルタナティヴ・サウンドを忠実に再現したサウンドを鳴らし、アイドルファンだけでなく、耳の肥えた音楽ファンからも大きな支持を得ている。今年4月にリリースされた1stアルバム『BUBBLE』にも、ニルヴァーナやサウンドガーデンなどを彷彿させるグランジ/オルタナティヴ・サウンドが満載。のみならず、メロコアやシューゲイザーなどの要素も随所に散りばめられ、“アイドルのデビュー・アルバム”とはまるで思えない、優れたオルタナティヴ・ロック・アルバムとなっているのだ。

だが驚きなのは、20歳そこそこの女性アイドル4人がそうした轟音ロックに負けないパフォーマンスをステージ上で繰り広げているということだ。結成してまだ1年。なでしこ、間宮まに、一花、レナの4人は、ステージに上がると力強いヴォーカルを響かせ、激しく舞い踊り、ラウドなサウンドに負けないどころか、それらにさらなる熱量や臨場感やダイナミズムを加えている。彼女たちは“今最も優れたライヴを観せてくれるアイドル”と言っても過言ではないだろう。それがもたらす高揚感たるや、下手なバンドなど一蹴してしまうに違いない。

 

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しかしながら、ステージを降りた彼女たちは極めて大人しい。そのギャップは甚だしく、ライヴでの“暴れっぷり”からはとても想像できないほど。こうして取材をしていても言葉に詰まり、沈黙が訪れることもしばしば。もちろん、年頃の女の子ゆえにちょっとしたことで大きな笑い声を上げることも少なからずあるのだが、何かを真剣に伝えようとすればするほど、それを的確に表現する言葉が見つけられない、といった印象だ。

それは単に「口下手である」ということではないだろう。話をしてみると、適当な相槌を打ったり、安易な言葉でその場をやり過ごしたりする様子が全く見られない。その姿は、静かで柔らかでありながらも、妥協することなく、本当の気持ちを直向きに伝えようとしているかのよう。まるで、複雑で繊細で重層的な自分の気持ちを、どうにかしてきちんと伝えるべく、静かに“内なる格闘”に挑んでいるかのようだ。妥協を許さず、自分の気持ちに嘘をつきたくない。それゆえに“本物の言葉”を探しているのだ。

ステージ上での彼女たちには、何かを掴もうとするかのように前方や上方に手を伸ばすアクションがしばしば見られる。あたかも“本物の言葉”を探し求めているかのごとく。

もしかしたら彼女たちにとって、こうして取材で喋るのも、ステージで熱いパフォーマンスを繰り広げるのも、同じ行為なのではないだろうか。“本物の言葉”あるいは“本物の表現”あるいは“本物の自分”というものを探し求めているのだ。些か大袈裟な表現を使うならば、それは彼女たちの生き様と言ってもいいのかもしれない。優れたサウンドの上で、女性アイドルたちがその生き様を見せる。それほど“純粋”なものはないだろう。そして、それが放出しうるエネルギーは計り知れず、あらゆるものに勝り得るのではないだろうか。彼女たちのライヴを観ると、そんな想いが頭を巡る。

口数は少なく、テンションはやや低めだが、その端々に“熱さ”を秘めた彼女たちの言葉をしっかりと受け止めていただきたい。