Dec 08, 2016

インタビュー

渡辺満里奈「餃子を一日3軒ハシゴしていた」
食欲旺盛な30代独身時代を振り返る

1986年のデビュー以来、タレントとして数多くのテレビ番組で活躍され、現在は2児の母でもある渡辺満里奈さん。デビュー30周年を記念して自身の誕生日にあたる11月18日に、雑誌『Hanako』で2001年から約4年間に渡って長期連載した食のエッセイ『甘露なごほうび』と続編『甘露なごほうび2』(ともにマガジンハウス社)の電子書籍をリリースされました。電子書籍化にあたって、当時の食へのあくなき探求心、そして30年間の活動について、話を聞きました。

 

──改めて読んでみて、かなりの健啖家なんだなとびっくりしました。

まあ、すごい食べていますよね! 餃子も一日3軒ハシゴしたりとか。今読むと、いまこの文章は書けないなって思うし、もうこんなに食べれないなと自分でも思います(笑)。

──月2本の連載を書くためにネタ集めも考えると、かなりの数に行かれているのでは……?

当時のマネージャー(※本書では“オミ隊長”として登場)が食べるのがすごく好きで、当時はわたしも独身で身軽な身でしたし、普段からよく食べ歩いていたので、お互いの欲望が合致したというか(笑)。当時はネットも今ほど使えなかったので、『あまから手帖』とか、『dancyu』を読んで、普段から情報をかき集めていましたね。

──ピラティス、台湾、音楽、手芸……と、満里奈さんが紹介されてきたものって、多種多様ですよね。

ハマると突き進む性分なんです。でもその中でもやっぱり食べるものって、すごく大切だと思っていて、いまでも「食べることが好き」というのは変わらず、ですね。でも当時は、食べることに対して、本当に飽くなき探求心があったというか(笑)。多分、食べること自体もそうですけど、食にまつわる時間だったり、その場の雰囲気、その時に人と話したことだったりというすべてが、その時の私には必要だったんだろうなと思うんです。それにしても、まあ、よく食べて、よく飲んで、よく喋ったなと思います。

──単にグルメレポートではなく、「食」の味は、その時の気持ちや記憶、人との関係性でつくられることが伝わってくるエッセイでした。

わたしは食の評論家ではないので、その味を評価する仕事では決してなくて、食にまつわる時間が大事だったなって思います。まず「楽しむ」ことが最初にあったと思います。確かに食自体もそうですが、当時ハマっていた池波正太郎の食のエッセイ読むと、このお店に行って、ちょっと江戸気分を味わってみたいなとか憧れましたね。

──それにしても、月2本を4年間というペースは相当ですよね。

でも昼夜合わせると、それくらい書ける軒数は軽く行っていたと思います(笑)。例えば、「美味しいかき氷を見つけた!」ってなると、じゃあ、あっちのお店にも、こっちのお店にも行ってみようとなるので、取材が大変だった記憶はないんですよ。

──執筆されていた時期って、ちょうどアイドル全盛期からの転換期でしたよね。

いわゆる“アイドル”から出てきて、ちょっと変わったものが好きだった私を、幸いなことに周りのスタッフがおもしろがって、拾い上げて、広げてくれたという感じでした。趣味の延長というか、本当に好きなことを突き詰めて仕事にできるって、とってもありがたいことだなと思っていました。そこは本当にスタッフとのコンビネーションだったと思いますね。そんなゆるい芸能生活でした(笑)。

──文章を書くこともお好きでした?

好きでしたね。嬉しかったのは、ご病気をされている読者の方から「自分は病気で食べられないけど、エッセイを読んですごく元気をもらえました」というコメントをいただいた時です。というのは、私は池波正太郎さんのエッセイにすごくハマった時期があって、中でも食のエッセイにはずいぶん影響を受けたと思います。なんて言うか、しみじみと、「食」の情景が目に浮かぶ描写が素敵だなあと思って、シリーズは全部読みましたね。あと、すごくおもしろかったのは、辻調理師専門学校を築いた辻静雄氏の物語を描いた海老沢泰久『美味礼賛』ですね。あっという間に読み終えました。

──デビューして30周年という節目ですが、いまご自身で振り返ってみていかがですか。

「えっ、もう30年?」という感じです。あっいう間でした。いつもフレッシュな気持ちでお仕事をさせていただいているのですけど、当時インタビューで「10年後どうしてると思いますか?」と聞かれても、さっぱり何も考えていなかったですね。でも、基本的には人生って、自分の思い通りになることなんて、何もないじゃないですか。その時その時、やらなきゃいけないことを必死でやって、その先に何か見えたらいいかなという感じでした。だから、はっきりした将来のビジョンもありませんでした。私、こだわりがまったくないんですよ。もちろん大好きなものはいつもたくさんあって、人にも紹介したくなるのは今でもそうですが、でも当時「最先端の流行」が何かとかも全然わからなかったし、基本的に自分が好きなものを楽しんできただけ。「サブカルの女王になってやる!」みたいな勢いもなかったし、多分、イヤなものがあまりなかったんだと思います。これは嫌いとか、こういうことはしたくない、とかがあまりないタイプなんです。いま振り返ると、アイドルから出てきて、こだわりなく、いろいろなことをミックスしてできたことが、逆によかったんじゃないかなと思います。若い頃は、こだわりを持たないと恰好悪いんじゃないかと思った時もありましたが、基本的に流れに身を任せてしまうタイプだし、いい意味で柔軟?(笑)。それがよかったのかな。

──当時「食」にかけていた情熱はいま何に向かっていますか?

いまなんて言っても、子育てですね。でも下の子も春から小学生になるので、一段落できるかなって。時間もできるし、これからは少しずつ、自分のこともやっていきたいなと思っています。刺繍を再開しようかしら。少し離れていたピラティスも、また始めたいなと思っています。でもさすがにあのポーズはもうできないわ(著書『ピラティス道』の表紙の写真)。でもあの頃にやっていたことが、いまの身体のベースをつくってくれている気はしますね。そう考えると、これから何をしていこうか楽しみです。

取材・文 / otoCoto編集部

 

 

Profile

 

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渡辺満里奈(わたなべ まりな)

1970年11月18日生まれ、東京都出身。1986年、おニャン子クラブ(会員番号36番)のアイドルとしてデビュー。1986年にファーストシングル『深呼吸して』でソロデビュー。
以降は、その自然体な魅力と清潔感溢れる明るいキャラクターでタレントとして数多くのTV番組に出演。持ち前の好奇心と食への探究心で執筆した本書『甘露なごほうび』、『甘露なごほうび 2』のほか、『満里奈の旅ぶくれ~たわわ台湾~』、『ピラティス道』、『これが私の十月十日 妊婦道』など著者多数。2016年10月ソロデビュー30周年を期に著書アーカイブを順次電子書籍化予定。

 


 

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『甘露なごほうび』
『甘露なごほうび2』 渡辺満里奈

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