Jun 09, 2017

インタビュー1574

ビートたけし独白!オイラが好きな作家、映像が感じられる小説

otoCotoがビートたけしさんへの独占インタビューを敢行!「人生に影響を与えた一冊」や「好きな作家」、近著の『テレビじゃ言えない』に込めた想いなどをお伺いしました。
たけしさんの語り口を意識したインタビュー文面でお送りします!

 

人生を振り返って「心に残る一冊」「人生に影響を与えた一冊」を教えてくれって?

ご期待に添えないかも知れないけど、オイラは文学ってものをたいして読んできてはいない。哲学も分からなきゃいけないと思って、学生時代には実存主義のサルトルなんかを買って読んでみたけど、まるきり理解できない。

だけど、その頃から今までずっと、数学だとか科学だとかいわゆる「理系の本」ってのは読んできた。比較的、最近のもので印象に残ってるのは、R・P・ファインマンの本だな。ファインマンってのは、1965年にノーベル物理学賞を受賞した天才物理学者なんだけど、この人の本は量子力学とか、宇宙論とか難しい話を簡単に説明してくれてる。マンガで解説してくれているヤツもあるね。そういうのはすごく面白かった。

文学ってものにそんなに正対してこなかったオイラだけど、実は最近、きちんと自分で小説を書いてみようと思ってる。ピースの又吉が芥川賞取ったんで、オイラも夢の印税生活としゃれこめんじゃないかって魂胆なの(笑い)。 だけど、実際書き始めてみるとこれが難しいんだよ。その人物の背景やら情景描写を文章として書き込んでいくと、何だかわざとらしくなっちまう。ちょうどいい加減がわからないんだよな。
で、いろんな作家を参考にするんだけど、村上春樹ってのは売れてるらしいけど何がいいんだかゼンゼンわからない。「なんだこれ?」って感じ。「あァ、若いオネエチャンってのはこんなのが好きなのかな」程度にしか感じられない。

その点、「こりゃスゲエや」って思ったのは、ノーベル文学賞も獲ってるコロンビアのガブリエル・ガルシア=マルケスだよ。

『百年の孤独』が有名だけど、オイラが特に好きなのは『族長の秋』だ。あれは、日本人という民族が持っているのとは、全く違うエネルギーを描いている気がする。この作品を読むと、まるで「異次元の世界じゃないか」というような映像が頭に浮かぶ。自分の中で、「えっ」と思うような違和感のあるイメージが膨らんでいくんだ。そういう世界って映画にもあって、「オイラもそんな映像を撮りたいな」って思うんだけど、なかなか思うようにならない。やっぱり本・文学がもたらす想像ってのは、実際に映像にできる範囲より広いんだよね。
ガルシア=マルケスの小説は、そういうインスピレーションを与えてくれる。「映像が感じられる小説」ってのは、本当にすごいと思う。

こないだ、テレビの自主規制が行き過ぎてるんで、その鬱憤を晴らしてやろうという意味もあって『テレビじゃ言えない』って本を出した。こう言うと、誤解するヤツがいるんだよ。「そうそうテレビは終わった! ネットこそ新時代のメディアだ」みたいに、テレビやら新聞の不都合をネットが全部救ってくれるみたいな、ネット至上主義のヤツラだね。だけど本当にそうか?