Jun 30, 2017

インタビュー

SMAP報道は、何が間違っているのか? 彼らを取材し続けた二人に聞く

昨年の年末、25年に及ぶ活動に終止符を打ったSMAP。あれから半年が経っても、未だメンバーをめぐる報道は収まる気配を見せない。それは彼らが残したものがいかに大きいか、そして何かを続けること、そして終わらせることが、いかに難しいかを物語っている。

長年に渡ってSMAPの公式取材を務めたライター・相田冬二と、雑誌『Invitation』の元編集長・小林淳一が、彼らのこれまでのドラマ・映画・音楽を通じて「SMAPとは何だったのか」という大きな問いに対峙し考察した連載は、SMAPファンはもちろん、各界の著名人からも大きな反響を呼んだ。

この連載が待望の電子書籍化となり発売されたばかりの二人に、あらためて、SMAP報道に関する現状について、話を聞いた。

 

特別対談:SMAP報道は、何が間違っているのか?
彼らを取材し続けた二人に聞く

相田冬二(SMAPオフィシャルコラム『Map of Smap』ライター)× 小林淳一(雑誌『Invitation』編集長)

小林淳一(以下、小林) 日本の芸能史上、初めてじゃないですか。アイドルの契約がこれほどのトップニュースになるって。それだけ国民の関心事だし、まだみんな“SMAPモラトリアム”から抜け切れていないっていうことですよね。僕も、この連載が3月末に終わって、電子書籍のあとがきを書いて、自分の中ではひと段落ついたと思っていたのですが……。

相田冬二(以下、相田) そう、この仕事はなかなか終わらないし、終えられない(笑)。そこもSMAPのすごさですよね。

小林 この間、「ワイドナショー」(フジテレビ系)を観ていたら、このニュースを受けた小島瑠璃子が「もしかしたらファンを大切に思うからこそ言えないこともあるかもしれませんよね。本当のことじゃないと話しても意味がないし」と発言していて、わかっているなと思いました。本当のことを喋ったら、みんなよけいに傷つくことってあるじゃないですか。

相田 僕らの日常生活でもそうだけど、喋らないほうがいいことっていっぱいありますよね。だから、彼らが喋らないことも、誠意の表れのひとつだと僕は思います。そう受け止めている人も少なくないはず。でも、その声は声高ではないから、なかなか表立っては出てこない。結局、批判やバッシングか、もしくは「いい人」に仕立てる物語の方がわかりやすいから大きく取り上げられがち。沈黙することへの称賛は少ない。みんながわかりやすく、納得しやすいストーリーを求める傾向がありますね。SMAPに限らず。現代の病だと思います。

 

今なお続くSMAPショックと
「いい人報道」の危うさ

 

小林 中居(正広)の事務所残留のニュースは、まさに「いい人」という称賛報道ですね。

相田 ちょっと心配してしまうくらい。「いい人」として持ち上げられると、そうじゃない何かが少しでも出てきた時に、大衆もマスコミも簡単に手のひらを返したように叩き潰すっていうのが定例じゃないですか。「いい人称賛」とバッシングって、紙一重だと思うんですよ。いまや、美談は圧力です。美談に包囲されて身動きがとれなくなる可能性すらある。しかも中居の場合は、憶測による架空の美談がどんどん増殖している。美談を拡散する人はたぶん善行だと思っているんだろうけど、とても無責任な行為でもあるんじゃないかな。

小林 中居は今年からキリン氷結のCMもやっていますが、もし本当に事務所を退社するかもしれなかったなら、退社する9月まで待ってもらうか、お断りするのが筋ですよね。残留の芽はそのときから出ていたとも言える。

相田 これだけ大きな仕事をしてきた人なら、たったひとつの理由だけで物事を決められるわけがないんですよ。なのに、どうしてひとつの美談でわかりやすく話をまとめようとするのかな。中居に関して言うと、メンバーや後輩を思う気持ちもあったのかもしれないけど、でも同時に、お世話になったスタッフ、スポンサー含めての番組関係者への思いや事情、これからの仕事の展開など、いろいろな理由があったはずで。社会人なんだから、それが当たり前。義理と人情の人、は日本人が大好きなストーリーだけど、それを安易にハメすぎてる。物事をわかりやすくしないと気がすまない、というかね。逆に言うと、中居正広という存在に対する敬意が欠けていると思うんですよね、あの手の美談話には。

小林 ネット的ですね。お金や保身で残留を決めたかもしれない。その可能性は捨象されている。でも、そのこと自体は決して悪いことではないと思うんです。もしこれから中居が芸能界で天下を取ったら、長期的にみれば、数十年先にSMAP再結成もありうるかもしれないし。 そもそも人間が判断する理由は一つではないということです。