Sep 28, 2017

インタビュー

30歳の男女のリアルな結婚や仕事について書きたかった【作家・白岩玄インタビュー】

社会人になって、人生の岐路、そして出会いや別れに直面して心を揺すぶられる男女4人組の青春群像を瑞々しく綴った小説『世界のすべてのさよなら』を上梓した作家・白岩玄。『野ブタ。をプロデュース』で鮮烈にデビューし、『R30の欲望スイッチ』、『未婚30』など、30歳前後の男女の生き方をテーマに書き続ける白岩さんに、ライター・瀧井朝世さんがインタビューしました。

 

──美大時代から仲のよかった悠、瑛一、竜平、翠の4人が、30歳を迎える今、結婚や仕事の変化で関係に変化が生まれていく。その様子がそれぞれの視点から描かれていく『世界のすべてのさよなら』。これは最初、どのような着想があったのですか。

25歳くらいの時に、2人の人間の密な交流と別れを書こうとしたんですが、その時は形になりませんでした。数年経った頃に「今なら書ける」と感じ、出来上がったのがこの小説です。どうしてそうしたテーマにしたかというと、25歳の頃、仲良かった男友達とあまり会わなくなって寂しく感じていたんです。新たにこの話を書こうと思ったのはちょうど結婚する頃で、これもまた周囲との関係が変わる時期でした。人間関係の微妙な変化を2回経験したことが大きかったと思います。 最初に書いたのは悠と瑛一が中心の話で、竜平は出てくるけれども翠はいませんでした。新たに書くにあたって、もともと別の短篇として考えていた翠の話を入れてみたら、うまくハマりました。

──悠と瑛一は一緒に暮らしています。でも悠が結婚することとなり、まもなく同居生活は解消される。彼らの家でよく集まっていた竜平や翠との仲も終わってしまいそうな予感がある。

僕の周りにも結構、男同士でシェアハウスに住んでいる知り合いがいるんです。ケンカしたりしないのかと思ってそれぞれに話を聞くと、やっぱり内心我慢しあっていたりする。それをお互いに口に出さずにうまく同居しているんです。そういう話を聞いていましたし、2人の関係とそこに流れる感情を濃密に書くなら、時間と空間を多く共有することが多いほうがいいと考え、2人を同居させることにしました。

 

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周囲の女の人たちを見て
生まれたのが翠でした

 

──悠と瑛一は性格が全然違いますね。

悠は無意識のうちにまっとうさを振りかざすタイプです。健全で、何一つ欠点がなくて、でもそれが時に鬱陶しいなと思われてしまう。実は冷たい人という気もします。いろんな人と関わっているけれど、その分、放置されたり関係を切られたりしている人も沢山いるはずですから。
瑛一は優しすぎて人に頼れない。希望の仕事に就いたけれども仕事がきつく、体調を崩して辞めてしまう。同じ世代の人を見ていて、会社である程度自分を押さえて働きながらも、身体にいろいろ溜め込んでいる人が多いと感じていたので、その印象が入っていますね。悠と瑛一はまったく違うタイプですが、僕も性格が真逆の人のほうが仲良くなるんです。仲が長く続いていたり、振り返った時に印象に残っていたりするのは、この人の感性は自分と違っていて面白いなとか、こんな考え方するんだと驚かされた人なんですよね。

──ダメ男との恋愛に悩む翠や、黙々と画家への道を突き進んでいる竜平の人物像は、どのようにイメージしましたか。

翠は、周囲の女の人たちを見てできた人物です。人に指摘されて気づいたんですが、男性の中に女性1人という設定だと、女の子が料理をするなど男の子たちの世話を焼く役割として描かれがちだけれども、翠は一切そういうことをしない。それが新しいと言われて、ああそうかと思って。意識してそう書いたのでなく、僕の周囲の女友達がみんなニュートラルで、誰一人そういう役割をしようとしないので、自然とそうなりました。
竜平には僕自身、憧れがありますね。寡黙で、画家を目指して突き進んでいる。あまり人とコミュニケーションをとらないタイプですが、そういう人も何かを大事にしていたり、誰かと繋がりたいと思っていたりするのではないか、ということを書きたかった。

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