Aug 04, 2017

インタビュー

作家・西尾維新が大切にする 独自の「執筆の矜持」と「読書ルール」とはーー? 大ヒット作の創作現場に迫る独占ロングインタビュー完全版!!

 

「書く」と「読む」のこだわりが
スーパー作家・西尾維新を形成

 

──デジタルプロジェクトの発足にあたって、ご自身の読書体験そのものも振り返られたのでしょうか。

僕は、特定の1冊というより、「講談社ノベルス」というレーベルのすべてに強く感化されてきました。新本格ムーブメントからメフィスト賞に繋がっていく流れを追い続けてきましたから。2段組の小説が好きなのももちろん「講談社ノベルス」から始まっています。『メフィスト』が紙から電子版に移行すると聞いて書いたのが先ほど申し上げた「掟上今日子の叙述トリック」と「人類最強のときめき」です。「電子と紙媒体の中間にあるような小説」を目指して書きました。初めて2段組みの本を読んだ時は本当に衝撃的でしたし、今でも変わらず2段組みが好きなので、「講談社ノベルス」で出版していただく時には、2段組みにしてます。

──デジタルプロジェクトでは『続・終物語』の鏡文字がデジタルでもそのまま見られたことに、とても感動しました。

(電子書籍で確認して)本当だ、こんなことも出来るのですね。驚きました。デジタルだと文字の処理がどうなるのかと思っていましたけれど、これはすごい。『傷物語』でも反転文字を使っていますが、あれは紙媒体だから許容される遊びとして、デジタルになるとどうなるかなんて、当時まったく考えていませんでしたから。こういう対応をしてもらえるのは嬉しいですね。実際小説を電子版で読んでいると、今までになかった気づきも多いです。まだ電子書籍がそれほど普及してなかった頃には「今どこを読んでいるのか、物語のどのあたりを読んでいるのかがわかかるのが、本の良さだ」と言われていましたが、今ではデジタルでも「82%まで読んだ」と数字でわかりますから。

──どこまで読んだのか、具体的な数字でわかりますね。

あれは便利ですよね。今読み始めて1時間経って何%まで読めたから、この本はあと何時間で読み終わる、ということがわかるので、この%表示はすごくいいと思います。

──読書スピードも測っていらっしゃるのですか?

さすがにそこまではしませんが(笑)、ただ、夜中に本を読むときに何時に読み終わるかを具体的に知れるのは重要です。「明日早起きしなければいけないけれど、この本は何時までに読み終わるのだろう?」とスケジュールを組む時に便利なんです。電子書籍を読むようになって一番良いと思ったことは、“光る”という点。夜に電気を消しても読めてしまうので、読むのをやめられませんが(笑)。それからコミックをデジタルで読む際の見開きの処理が、今は素晴らしいですね。漫画版『零崎軋識の人間ノック』の見開きだったりが隙間なく読めたので、すごく嬉しかったです。画面が光るということも、絵を美しく見るうえで本当に素晴らしいことだなと思いました。

──確かに最近の電子版のコミックは、真ん中に線が入らないものが多くなっていますよね。

その処理がおこなわれるようになったことは、電子コミックにとって革命的だったのではないかと思います。

6_掟上今日子の備忘録_cover_

 

──電子書籍で読書されることも多いですか?

もともと執筆速度を「1日3万字」に設定しようと思ったきっかけは、1年間で150冊本を読む時間を捻出するためでした。というのも、ある時、最近自分の本しか読んでないと思ったんです。小説を書くために多くの時間を費やしていて、ほとんど本が読めなくなっていたことに気づいて。インタビューを受けたときに「今年読んだ本の中で印象的だった作品は何ですか?」と訊かれて振り返ってみると、読んだ本と言えば自分のゲラばかり(笑)。これはちょっと良くないなと思って、状況を変えたかった。でも読む速度を上げる訳にはいかないので、書く速度を上げるしかありませんでした。その結果の1日3万字です。そして年間150冊という冊数を読めるようになったのは、電子書籍を読むようになったからということは絶対にあると思います。150冊となるとかなりの物量になりますし、常に持ち歩くわけにもいかない。ほしいと思った時にすぐ買えるのは電子ならではですから。

──電子書籍が、年間150冊の目標達成を後押しになったわけですね。

ええ。昨年は無事150冊読めたので、今年もまた150冊読みたいと思っています。2日で1冊読む気分でいけば余裕を持って達成できます。ですから上下巻セットの書籍はちょっと得をした気分がして、嬉しいです(笑)。でも『ダ・ヴィンチ・コード』は上中下巻で3冊ですが、ビジュアル版を買うと1冊なのです。

──ご自分のルールがあるのですね。

自分の中だけのルールですけれども。150冊を超えてからはカウントしなくなりましたが、結局、昨年1年間で160~170冊は読めたと思います。面白いシリーズに出逢えた時は嬉しいですね。長大なシリーズに心が折れなくなりました(笑)。電子書籍にも意外に偶然の出会いがあって、「この本を買った人はこの本も買っています」とこれまで出会えていなかった本を推薦されて、読んでみると面白かったり。電子書籍で、そんな風にも<物語>シリーズに接していただけたらとても嬉しいです。忘却探偵、戯言、物語シリーズを全部読めば40冊以上になりますし、デジタルプロジェクトで現在刊行中の小説を読むだけで、150冊の半分くらいになりますね。自分の本をカウントする訳にはいかないので、僕には適用できませんが、でももし、そんな読書目標を立てている方がいれば、是非試して頂きたいですね。

 

聞き手/鷹野凌
構成/otoCoto編集部

プロフィール

 

西尾維新(にしお いしん)

2002年に『クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い』(講談社ノベルス)が第23回メフィスト賞を受賞してデビュー。速筆・多作で知られ、アニメ化された『化物語』や新垣結衣・主演でドラマ化された『掟上今日子の備忘録』、映画化になった『傷物語』など、次々とヒット作を生み、名実共にゼロ年代を代表する作家になった。今年は作家業15周年を記念した初の展覧会『西尾維新大辞展』が東京と大阪で開催される予定で、話題を呼んでいる

 

作品情報

 

9784062839020

『忍物語』西尾維新 / 講談社

“たまには縁もゆかりもない女子を助けてみるのも乙だろう” 直江津高校の女子生徒が、相次いで失踪する事件が発生した。 ミイラ化した状態で発見された少女達の首筋には、特徴的な傷痕があって――? 大学一年生になった阿良々木暦は、犯人を突き止めるべく走り出す! 〈物語〉シリーズモンスターシーズン、開幕!

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展覧会『西尾維新大辞展』

 

<東京会場>
開催期間:2017年7月27日(木)~8月7日(月)
会場:松屋銀座 8Fイベントスクエア
<大阪会場>
開催期間:2017年8月9日(水)~8月21日(月)
会場:大丸心斎橋店 北館14Fイベントホール
公式サイト:http://exhibition.ni.siois.in/

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