Mar 17, 2018

インタビュー

ベストセラーはどのように生まれるのか?『天国の本屋』を執筆したコンビ作家に聞く、創作活動の舞台裏

出版業界でも珍しいコンビ作家として活躍する、松久淳と田中渉。映画化もされたベストセラー『天国への本屋』に続き、昨年リリースされた最新刊『きっと嫌われてしまうのに』は、高校生のあわい恋愛話かと思いきや、読み進めるたびに物語は思いも寄らない展開を迎える話題作。本作の創作舞台の裏側、そしてふたりで1冊の本を書くことについて、お話を伺いました。大学時代からの友人同志というふたりの掛け合い漫才のような息がぴったりの対談インタビュー!

 

松久がダーク&シリアス担当
田中がピュア&キラキラ担当です。

 

──『きっと嫌われてしまうのに』もおふたりで執筆されていらっしゃいますが、実際どのように役割分担をされたのでしょうか?

田中 だいたい僕がアイデアを膨らまし、松久に執筆をお願いすることが多いのですが、本作は松久のアイデアからスタートし、全体の取り仕切りも松久がやりました。

松久 僕がソロで『もういっかい彼女』という本を出版した際に、まったく自分の意図とは違って、「仕掛けが凝っている」という評価をたくさんもらったんです。僕としては、すごく細かく時系列や設定を考えて、パズルを埋めていくような感じだったんですが、それがミステリーっぽいと。ならば、きちんと書いてみるかと、ミステリーとしてストーリーを考えていきました。そして、あらすじをつくった後に、田中に登場人物の動かし方などを伝えて、二部構成に分けて、片方の執筆を頼みました。ふたつの話が同じようでどこか違う雰囲気を出したくて、半分を田中が書けば自ずと違うテイストになり、違和感が出せると考えました。

田中 部分的な依頼だったから、最初は何を書いているのかがわからなかったですね。映画制作でいうと、助監督が監督から脚本全部を渡されず、「このパートだけ演出して」と言われる感じ。だから、かなりフラストレーションがたまりました。

松久 上がってきた文章のノリは変えずに、最初に設定した人物の個性からはみ出でているところだけは修正しました。本当なら、有名な一流作家の方にでもお願いしたかったのですが、残念ながら身近に田中しかいなかったので(笑)。

田中 そういうことだったのか(笑)。

──ミステリーとはいえ、恋愛小説の要素も強いと思いました。しかも高校生のキラキラしたピュアな気持ちが瑞々しく綴られています。まさかミドルエイジの男性が書かれているとは……。

松久 僕はそういったキラキラした青春ものは恥ずかしくてダメなんです。高校時代は男子校だったし、童貞だったし、彼女もいなかったし。でも、田中がね、臆面もなくキラキラしたものを書いてくるんですよ。初期の『プール』という作品は、田中が原案をつくり、それを僕が直したのですが「女子高生のキラキラした会話を、どのツラ下げて書いてくるんだよ……!」と思いました。

田中 あはははは。藤子先生でいうと、僕らはA先生とF先生ですね。

松久 F先生がダークだっけ?

田中 我孫子先生が描いたのが喪黒福造だから、ダークはA先生だよ。松久がA先生で、僕がF先生。

松久 いずれにせよ、キラキラしたシーンを書いたのが、こんなおっさんなんです!

田中 イベントで登壇すると、(作品の)ファンが僕たちを見て「えっ、おっさんなの?!」と引くのがわかるんです……。ほんと、申し訳ない(笑)。

松久 でも、若い女子のファンが少ないから、まぁ、いいかと。極めて、残念ですけれど。

 

 

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