Mar 18, 2018

インタビュー

谷川俊太郎とコラボも!会社員小説家としてパラレルワークを楽しむ「新しい働き方」

ひとつの小説をふたりの作家が共同で執筆する。しかも、その内のひとりは会社員としての顔も持つ。そんなレアな創作活動を続けているのが田中渉だ。映画化まで実現した『天国の本屋』ではふたりで執筆したが、田中渉は絵も描く作家で、さらに自ら出版社に売り込みにも行けば、作品に関連したイベントやコラボレーションも積極的に企画するという、その創作活動は多岐に渡る。その中でも突出しているのが、詩人・谷川俊太郎の詩に絵をつけて構成した本『あなたはそこに』。自身が敬愛する谷川俊太郎との共作という念願の企画はどのように実現したのか。本作品への想い、そして会社員小説家としてパラレルワークを楽しむ「新しい働き方」など、じっくりとお話しを伺いました。

 

恋なのか友情なのか
曖昧だからこそ切ない

 

──谷川俊太郎さんの詩『あなたはそこに』に、田中さんが絵を描き、構成を担当したコラボレーション企画はどのように立ち上がったのでしょうか。

そもそも、僕が谷川作品の大ファンで、中でも「あなたはそこに」はすごく好きな詩だったんです。そこで、時間をみつけては、この詩を読みながら、絵を描いていました。わずか24行の詩ですが、絵を添えたらものすごく深い物語になるのではないかと思い、自分から出版社にプレゼンしに行きました。

──話題となった『天国の本屋』や最新作『きっと嫌われてしまうのに』とも共通点する世界観がありますよね? いずれも、大切な人が亡くなって悔いを心に抱えているような……。

そうでしょうね。『あなたはそこに』に出てくる“彼女”は、ひとりの男性に好かれている。ただ、それが恋なのか友情なのかよくわからない。谷川先生は、そういう曖昧な関係性を描くのが得意です。で、僕が思うに、彼女はすごくかっこいい女性なんです。そのかっこいい憧れの彼女が、突然いなくなってしまう。でも、思い出があるために、ふたりの関係は永遠なんだという本だと思います。切ないですよね。

──ご自身もそういった大切な方との思い出がありますか?

亡くなるというのは、経験がないですね。ただ、おもしろいことに、この本を見せると、恋愛にご苦労されている人はすごく感じるものがあるらしく、「男女の友情を描いたすごくいい詩だ」と仰る方が多いです。一方で、怒り出す人もいるんです。不倫の話じゃないか、けしからんと。「こんなのだめだよ!田中君」なんて言われて、「いやいや、詩は谷川先生で、僕は絵を描いたんですけど……」と理不尽に思いつつ、怒られたことがあります(笑)。

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