Feb 24, 2020 interview

『架空OL日記』は"狂気"の作品?バカリズム×夏帆が撮影裏側、お互いの印象を語り尽くす!

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いい意味でメッセージ性のない作品

――映画を観ていて、何もない日常の中で他愛もない会話をしている、平凡な毎日が続く、そういうことが人生の幸せなのかなというふうに思えました。

バカリズム 非常事態になってから初めて、あぁ、日常って良かったみたいなことを思うんですよね。振り返った時に、あの時はすごい幸せだったんだろうって感じることもすごく多いです。

夏帆 たしかに。学校に通ってた時はダルいなとか思ってたけど、卒業すると、あの日々が急にかけがえのないものになるみたいな。

バカリズム うんうん。だからそういう意味ではこの作品はまさにそれを表現しているというか。僕はそういう平凡な生活が好きだし、リアリティを壊してまで何か事件を入れるというより、ずっと観ていてひたすら楽しいものがいい。途中で何かイヤなことがあったりハラハラしたり、怖い思いをしたり、最後に何か考えさせられるとかは大っ嫌いなんで(笑)。

――シリアスな作品より笑える作品がいい?

バカリズム なんで金出して映画観に行って考えさせられなければならないんだろう、何の因果もない人間の人生観をなぜ押し付けられなければいけないんだって(笑)。僕自身も人生観や思想を他人に押し付けられるほどの人間じゃないし、そんなおこがましいことは出来ないと思ってます。よくそんな説教じみた作品作れんなみたいに思っちゃうんです。

――いい意味でメッセージ性がない作品がいいというか。

バカリズム そうですね。メッセージ性がないのが好きです。考えさせられる映画とか、なんでお前に考えさせられきゃいけないんだって思っちゃうんです。お前はよっぽど正しい人間なんだろうな? みたいな(笑)。

夏帆 でも受け取り手によっては、この映画にもメッセージ性を見出すんじゃないですか。それが不思議ですよね。

バカリズム そうですね。でもそういうもんなんでしょうね。

創作の源の漫画家、最近のお気に入り映画

――話は変わりますが、バカリズムさんも多くの作品を作っていますが、創作の源になっているものや人って何かありますか?

バカリズム 遡って考えると、藤子不二雄先生が最初かもしれないです。子どものころ、『まんが道』を読んで漫画家になりたいと思っていたんです。手塚(治虫)先生も好きなんですけど、それは『まんが道』のフィルターを通してすごい神様だって知ったから。藤子不二雄先生の“SF”――“少し不思議”の世界観が残ってるから、自分で書くものも不思議なものが好きだったりしますね。

夏帆 私も藤子不二雄先生、好きです。

――夏帆さんが女優として影響されているのは?

夏帆 私も漫画が大好きなんですけど、もともと映画が好きでこの仕事をしているところもあるので、映画も大好きで。

バカリズム この作品の打ち上げの時、「自分の人生一番の映画は何か」っていう話になりましたよね。でもその時は結局難しくてみんな答えが出なかったんだけど。僕は『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(85年)って言ったと思う。

夏帆 その時も結局、挙げられなかったし、いろんなことに影響されてるから、これって挙げるのは難しいですね。すごく影響を受けたというわけではないですけど、最近、観た作品でおもしろかったのは『マリッジ・ストーリー』(19年)です。夫婦が離婚して親権争いで裁判するという話なんですけど、ちょっと喜劇的に描いていてすごく好きでした。こういう作品をやってみたいし、こういう日本映画を観たいなと思いました。

バカリズム 海外の作品?

夏帆 スカーレット・ヨハンソンとアダム・ドライバーが出演しているNetflixの作品です。ストーリーや台詞もすごくよく出来てるんです。スカーレット・ヨハンソンが泣きながら長台詞を言う時に途中でリップを塗ったり鼻をかんだり。

バカリズム あぁ、リアルでいいですね。日本映画だとそういうリアルさってあんまりなさそうですもんね。そういうストーリーの長台詞で泣いててってなると、クローズアップしたりして重く撮りがちだけど、実際の日常ではわりと動き回ることもあるから、それがすごくリアルでおもしろかったりするっていう。

夏帆 そうですね。重い話をしててもちょっと滑稽な面が見えたりするのがすごく好きなんです。

取材・文/熊谷真由子
撮影/名児耶洋

プロフィール
バカリズム

1975年生まれ、福岡県出身。1995年、芸人コンビ“バカリズム”を結成し、2005年よりピン芸人として活動開始。お笑い以外での活躍も多岐にわたり、2012年に監督・脚本・主演を務めた『バカリズム THE MOVIE』が公開。『素敵な選TAXI』(14年)でドラマの脚本を初めて手掛けて以降、『かもしれない女優たち』(15年)、『黒い十人の女』(16年)などの脚本を担当。ドラマ『架空OL日記』(17年)では脚本・主演を務め、向田邦子賞、ギャラクシー賞のテレビ部門特別賞を受賞した。役者としても多くの作品に出演し、マルチな才能を発揮している。

夏帆(かほ)

1991年生まれ、東京都出身。2007年の初主演映画『天然コケッコー』で日本アカデミー賞新人俳優賞など多くの新人賞を受賞。映画『東京少女』(08年)ほかで日刊スポーツ映画大賞新人賞に、『海街diary』(15年)で日本アカデミー賞優秀助演女優賞に輝いた。ほかの出演作に『ピンクとグレー』(16年)、『22年目の告白 -私が殺人犯です-』(17年)、『友罪』『ビブリア古書堂の事件手帖』(18年)、『きばいやんせ!私』『ブルーアワーにぶっ飛ばす』(19年)など。今後は『Red』(2月21日公開)、『喜劇 愛妻物語』(20年)が待機している。

公開情報
『架空OL日記』

憂鬱な月曜日の朝。銀行員OLの“私”(バカリズム)の1週間が始まった。携帯のアラームを6時にセットするも、実際に起きるのは6時半。眠気に耐えながらもきっちりメイクして家を出る。ストレスフルな満員電車に揺られ、職場の最寄り駅で合流するのは社内で一番仲良しの同期=マキ(夏帆)。私と価値観の近いマキとの会話は、時に激しく不毛ながらも不思議に盛り上がる。会社の更衣室で後輩のサエ(佐藤玲)と入社8年目の小峰(臼田あさ美)、10年目の酒木(山田真歩)が加わり、いつものように就業前のおしゃべりに華が咲く…。
原作:バカリズム『架空OL日記』(小学館文庫)
監督:住田崇
脚本:バカリズム
出演:バカリズム 夏帆 臼田あさ美 佐藤玲 山田真歩  三浦透子 / シム・ウンギョン / 石橋菜津美 志田未来 / 坂井真紀
配給:ポニーキャニオン/読売テレビ
2020年2月28日(金)公開
©2020「架空OL日記」製作委員会
公式サイト:https://www.kaku-ol.jp

書籍情報
『架空OL日記』バカリズム/小学館文庫
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