Nov 02, 2017

インタビュー

特別編:映画監督に予告編は作れない?!予告編制作のプロたちが語り合うTIFFイベントレポート

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池ノ辺直子の「新・映画は愛よ!!」特別編

スターチャンネル×東京国際映画祭
「BS10スターチャンネル 映画アカデミー:映画予告編制作者による映画の“見方”“楽しみ方”」

 

第30回東京国際映画祭(TIFF)において、スターチャンネルとTIFFが共催するセミナー「BS10スターチャンネル 映画アカデミー:映画予告編制作者による映画の“見方”“楽しみ方”」が、10月26日(木)に実施された。イベントには、予告編制作会社の株式会社バカ・ザ・バッカの代表であり、『otoCoto』でもコラム「池ノ辺直子の『新・映画は愛よ!!』」(https://otocoto.jp/interview/interviewcat/ikenobe/)を連載中の池ノ辺直子氏と、株式会社ガル・エンタープライズの福永大輔氏が講師として登壇。映画パーソナリティの伊藤さとり氏司会のもと、映画予告編制作における裏話から映画業界で働くために大切なことまで、映画愛あふれるトークを繰り広げた。

→前回までのコラムはこちら

 

大勢の映画ファンに拍手で迎えられて池ノ辺直子氏と福永大輔氏が登場し、予告編制作の神髄に迫るトークがスタート。数多くの作品の予告編を手がけてきた二人だからこそ知る裏話や制作時のポリシー、90年代の名作の予告編制作エピソードまでが飛び出した。

 

伊藤さとり
(以下 伊藤)

邦画と洋画で、予告編の作り方は違うのですか?

 

福永大輔
(以下 福永)

工程が全然違うんですね。洋画はすでに本編があることが多いですが、邦画は予告編と本編が同時にスタートするんです。撮影前のこともありますし、素材の数が全然違う。もう一つ違う点は、洋画は本国でオリジナル予告編が作られるということ。それをもとに作ることもあります。

 

池ノ辺直子
(以下 池ノ辺)

あと、やっぱり日本人なので、邦画だと監督のニュアンスが伝わってきて、どう作ればいいのかが分かることが多いです。でも本編制作段階で予告編を作っていくので、台本だけで、良い部分や早く撮影が終わった素材で作るんですけど、仕上がりを観たら違っていたこともあります(笑)。「予告編で使われてるのに本編で使われてない」ことがあるのはそのためなんです。洋画に関しては、日本人はとても立派で、他の国は本国版の“オリジナルトレーラー”を母国語に変えて上映するんですが、日本では日本人にあわせたギャグを入れたり、日本人が感動するようにアピールできるものを作るんです。

 

伊藤

予告編制作の依頼が来るときは、宣伝コンセプトに基づいて発注されるんですよね?

 

池ノ辺

そうですね。宣伝プロデューサーも各ディレクターのカラーがわかっていて、ディレクターごとにオファーが来ます。基本的に映画の予告編って一人で作るんです。

 

福永

孤独ですけどね。僕はサスペンスやアクション系のお仕事をいただくことが多いですが、恋愛映画は全く来ません(笑)。制作時は、僕は音楽を大切にしていて、音楽と映画の一番気持ち良い部分と台詞を上手くミックスして、高揚してもらえないかなって常に考えています。

 

 

伊藤

池ノ辺さんが担当された『シティ・オブ・エンジェル』(98)の予告編で使われたポーラ・コールの「I Don’t Want To Wait」が大好きなんですが、“予告編用の曲”でサントラには入っていないんですよね。

 

池ノ辺

今でいうイメージソングですね。あの曲はアメリカ側でタイアップして使われたものだったんですが、良い曲だし、作品にも合っていたので日本版でも使いました。逆にサントラに入っていても、権利の問題で使えないものもあるので、そのときは選曲します。版権フリーの楽曲とかを使うので、「あの予告編とこの予告編の曲、似てる!」って思うのはそういうことなんです。「あ、選曲使ってる!」って思ってください(笑)。

 

伊藤

予告編づくりの醍醐味はどんなところでしょうか。

 

池ノ辺

本編には監督のOKカットしか使わないですが、私たちはそこからさらにOKカットを出して編集するんです。そういった独自のものを作るという醍醐味はあります。作品のカラーに合わせて、文字のフォントや音楽の使い方、どこにどういうナレーションを入れるとグッと来るのかを考えて構成していくんです。90秒に物語を作っていく職業。作家ですね。

 

福永

作家!かっこいい(笑)。でも、僕たちは映画を撮れないけど、もしかしたら2時間の映画を撮れる映画監督は、90秒の予告編を作るのは出来ないんじゃないかなとも思いますね。

池ノ辺直子

予告編制作会社バカ・ザ・バッカ代表/映像ディレクター。

フリー後「池ノ辺事務所」を設立。
10周年を記念して、バカばっかりの職人集団の意味で 株式会社バカ・ザ・バッカに社名変更し、代表取締役社長に。
今年で創立30周年を迎える。

2004年マックスファクタービューティースピリット受賞。 著書に「映画は予告篇が面白い」(光文社刊)がある。 イマジカBS審議委員 ニューシネマワークショップ講師。 予告編上映カフェ「 Café WASUGAZEN」の運営もしている

これまでに手がけた予告編は、『ボディーガード』『フォレスト・ガンプ』『バック・トゥ・ザ・フューチャー シリーズ』 『マディソン郡の橋』『トップガン」『博士と彼女のセオリー』『ブリジット・ジョーンズの日記 ダメな私の最後のモテ期』『ドリーム』『僕のワンダフル・ライフ』 ほか1100本以上。

現在進行中の作品は、2017年度のヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞を受賞、東京国際映画祭 2017特別招待作品『「シェイプ・オブ・ウォーター』。

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