ご飯を忘れるくらい読んじゃうんですよ。本の虫だと言われてました

──田中さんのプロフィールの趣味のリストを拝見すると、絵に音楽にスポーツにと、多岐にわたっていて驚きました。漫画もたくさん読まれているんですね。

田中そうなんですよ。子供の頃から漫画も本も大好きで。父が教師なので、昔から私に本をいろいろプレゼントしてくれたんです。そこから本好きは始まりました。学生の頃は毎週末父と図書館に行って本をたくさん借りて、一週間で読んで返しに行ってまた借りてって、それをずっと繰り返してました。

──お父様にプレゼントされた本の中で印象に残っているものは?

田中ファンタジーの本なんですけど、タイトルは何だったかな。私が高校生の時に、一巻だけプレゼントしてくれたんですね。それにすっかりはまって、30何巻まである本を毎月お小遣いをもらうたびに買いに行ってたんです。1冊1000円近くするんですよ。お小遣いの全部を本に使った感じです。その本がすごく楽しくて、田舎で育った私には、ファンタジーの世界はすごくきらびやかに見えたんです。子供の頃は特にファンタジーが好きでした。

──今はどんなジャンルの本をよく読まれていますか?

田中私は人がオススメしているような本を読むようにしています。この「ピアノの森」も、確かネットでオススメされているのを読んだと思います。昔から私はスポーツとかピアノとか、いろいろ習ってきたんですけど、一つのことに打ち込めずに全部“それなりにできる”で終わっちゃってたんですね。なので、何か一つに打ち込んだ人の話は自分とは正反対でうらやましいと思うところがあるので、こういうピアノの話だったりスポーツ漫画だったり、青春系の漫画をよく読んでいます。

──そうでしたか。田中さんの趣味を見て、絵も音楽も読書もされているので、すさまじい集中力をお持ちなのではないかと思ったんですが。

田中集中力は確かにあると思います(笑)。母親によく、「本を読み出したら全然声が届かない」とよく言われて、部屋で読んでるといつまでたっても降りてこないから、リビングで読めと言われてました。ご飯を忘れるくらい読んじゃうんですよ。本の虫だと言われてました。

──では、今回ご紹介いただく3冊について伺いたいと思いますが、まずは「ピアノの森」から。

田中先ほど言ったみたいに、何か一つのことに打ち込んで極めたかったなと私は思うんですね、大人になってから。でも子供のころは全然そういうことはわからない。飽きたらやめて次を始めてって、それが楽しかったんですけど、一つのことに打ち込んでいることの尊さに大人になって気がついたんです。例えばオリンピック選手は練習をたくさんこなして、遊びも何もきっといろいろ我慢してここまできているはずで、だけど本当の厳しさや喜びまでは私にはわからない。でもこうやって本や漫画で読むことで感情がすごく入ってきて、私もそこに連れていってもらっている感覚になるというか。「ピアノの森」を読み終えた時は、本当に感情移入していたのですごく泣きました。

──田中さんはピアノの経験もあるから尚更でしょうね。

田中そうですね。この「ピアノの森」は、ピアノの話ばかりというよりはヒューマンドラマで、感情の移り変わりとか人と人との関わりとかが見れる。一つのことを極めるがゆえに、生き方が不器用なんですよね。私は八方美人だと言われるので、それがかえってうらやましかったり。この本は学生の方から大人の方まで、老若男女問わず読んでほしいなと思います。

──この本を手にされたのはいつ頃ですか?

田中最近です。半年前ぐらいかな。兄に紹介したら兄もすぐに読んでくれて、「面白かった」って言ってくれましたし、人に胸張ってオススメできる本ですね。この本は確かアニメ化するんですよね。それでネットに紹介されていて気になったんです。よくネットで“オススメ 小説”とか“名作 漫画”っていうキーワードを入れて検索するんですよ。なので、ジャンルを問わず、あと作家さんで選ぶというよりは作品ごとに選んでいます。ただ、重松清さんや角田光代さんは好きで、読むようにしています。

──では角田光代さんの「私のなかの彼女」もその流れで手にされたんですか?

田中小説の場合は書店に行って、まず好きな作家さんのところを見に行って、めぼしいものがなかったらタイトルとか表紙とかを見てインスピレーションで決めちゃうんです。あとは後ろのあらすじと、最初の1行を読んでみたり。で、この本は最初の一行から引き込まれてしまって、思わず書店でどんどん読み進めてしまうくらいのめり込んだ作品です。女性の素敵なところも醜いところもすごく顕著に書いてあって、女性というものをさらけ出している感じがしたんです。今までファンタジーものやヒューマンもので“めでたしめでたし”で終わるような綺麗な物語が好きだったんですけど、この本は醜いところもさらけ出して、なおかつ自分とも向き合えるような本だったので、女性の友達にかなりオススメしています。今は姉に貸しているところなんです。

──この本に描かれているように、同性の血縁関係って、また独特な感情や関係性がありますよね。

田中ありますよね。自分は自分って言っても、母親や姉の影響はかなり受けているなと思うんです。今の自分を振り返った時に、その存在はかなり大きいものだと気づきますよね。

──田中さんとお母様の関係は、どんな関係ですか?

田中うちは家族全員すごく仲がいいんですよ。みんなでカラオケにも行きますし、きょうだいだけでディズニーランドに行ったりしますし。でもこういう本を読んでそういう家族が当たり前じゃないと知って、自分の考え方も変わったなと思いました。相手の感情を読み取る力も備わったなと思います。勉強になりましたね、改めて。

田中道子さんが好きな本を
電子書籍でチェック!

私のなかの彼女

角田光代(著)

新潮社

「男と張り合おうとするな」醜女と呼ばれながら、物書きを志した祖母の言葉の意味は何だったのだろう。心に芽生えた書きたいという衝動を和歌が追い始めたとき、仙太郎の妻になり夫を支える穏やかな未来図は、いびつに形を変えた。母の呪詛、恋人の抑圧、仕事の壁。それでも切実に求めているのだ、大切な何かを。全てに抗いもがきながら、自分の道へ踏み出してゆく、新しい私の物語。

流星ワゴン

重松清(著)

講談社

死んじゃってもいいかなあ、もう……。38歳・秋。その夜、僕は、5年前に交通事故死した父子の乗る不思議なワゴンに拾われた。そして――自分と同い歳の父親に出逢った。時空を超えてワゴンがめぐる、人生の岐路になった場所への旅。やり直しは、叶えられるのか――? 「本の雑誌」年間ベスト1に輝いた傑作。

ピアノの森

一色まこと(著)

講談社

森のピアノは、その少年を待っていた――。捨て去られたピアノ。壊れて音の出ないピアノ。いま、ひとりの少年の選ばれた指が、失われた音を呼び覚ます。少年の名は一ノ瀬海(いちのせかい)。彼は心に深く豊かな森を抱えていた。

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