私は原作をひたすら読み込む派で、台本にはないセリフから
アイデンティティみたいなものを汲み取ったり、
そういうことがすごく好きなんです

——上白石さんは子供の頃から本を読むのはお好きだったんですか?

上白石はい、好きです。小さい頃からすごく好きで、ずっと読んでました。絵本に始まって、小学校入ったぐらいからは分厚い本を読み始めて。図書館に通って、好きなシリーズがあったら端から端まで読んだりしていましたね。

——周りの環境がそういう環境だったんですか?

上白石そうですね。家に本がいっぱいあったのでし、自然に読んでいました。実は結構やんちゃというか、アクティブな子だったので、読書しているイメージが周りの人達にはなかったと思うんですけど(笑)、すごく好きでした。

——子供の頃からの読書遍歴を教えてください。

上白石すごく小さい頃に一番好きだったのは『こんとあき』っていう絵本です。女の子がぬいぐるみと一緒におばあちゃんの家に行くお話なんですけど……なんかホクサイ(自身初主演のドラマに登場する相棒のぬいぐるみ)みたいですね(笑)。絵がすごく素敵で、物語もあったかくて。その頃から、好きになった本は何回も読むタイプでしたね。で、小学校に入って小学二年生の頃でしょうか、はやみねかおるさんの推理小説にはまって全部読みあさりました。そこから一歩発展して、東野圭吾さんとか『若草物語』なんかの、海外の名作も子供用の本で読んでいました。最近は作家さんで決めたり、前評判を見たりしないで、本屋さんに行って、タイトルと表紙にビビっときたものを買うっていう感じです。角田光代さんの『さがしもの』も、そんなふうに出会った本です。

——そのビビッとくるポイントってどういうところなんでしょう?

上白石自分でもわからないんですけど、特に『さがしもの』は本屋さんに入って、ぱっと目に留まったんです。よさそうだなと思ったんですけど、違う棚に行ったんです。面白そうな本がたくさんあったんですけど、やっぱり『さがしもの』が、頭から離れなくて、“じゃあそういうことだ”と思って買ったらすごくよくて。今、一番好きな本です。

——よく裏のあらすじを読んで、とおっしゃる方もいるんですけど、上白石さんは本当に直感なんですね。

上白石そういう時期もあったんですけど、最近はあらすじを読むと、自分が好きなお話とか好きな雰囲気に引っ張られるような気がして。そうじゃなく、いろんなものを読みたいなと思って、なんにも見ずに買うようにしてます。あと、一時期、伝記ものにはまって、ヘレンケラーの自伝や、『アンネの日記』も読みました。高校に入って『アンネの日記』から派生して、その時代のホロコーストについての本を読んだりしましたし、『ハリーポッター』も読みました。映画は一度しか観た事がないんですけど、本は結構読んでます。あと、高校二年生の時の夏休みの宿題で、夏目漱石の『こころ』を読む宿題があって、読んだらすごく面白くて、名作と呼ばれるものは読んでおかないといけないってなって、夏目漱石の『坊ちゃん』と『吾輩は猫である』を買いました。あとは世界史をとっていたので、読んでみたいと思っていた、チェーホフの『桜の園』とか、気になったらとにかく全部買って読んでいました。いろんなジャンルを読んでいます。ホラーだけは読めないですけどね。

——怖いのは苦手ですか?

上白石嫌いです。夢に出てきそう。お風呂でぞくっとしちゃう(笑)。傾向としては、ほっこり・ほんわかした話が好きなのかもしれません。

——今回あげていただいた本は、まさにほっこり系ですね。

上白石そうですね。全部ほっこりしてますね。日常的なものばかりです。

——ではまず、現在上白石さんが主演を務めているテレビドラマ「ホクサイと飯さえあれば」(MBS、TBS)の原作『ホクサイと飯さえあれば』ですが、主演のお話が来てからこの原作を読まれたんですか?

上白石そうです。最初はどんなキャラクターなんだろうって、つかむために読んでいたんですけど、途中からただ楽しんでしまったくらい面白くて。私あんまりマンガを読まずに育ってきたんですよ。

——確かに、先程の読書遍歴の中で一度もあがってこなかったですね。

上白石家にマンガが一冊もなかったんです。でも、マンガの実写化に出させていただくことが多くなり、読むようになりました。中でもこのマンガが一番スラスラと読めましたね。ドラマの撮影前までは3巻まで出ていて、声をあげて笑いながら一晩で一気に読んじゃいました。ご飯がすごく美味しそうに描かれていて。もう、すごく好きです。

——実際に撮影に入って、この本の世界に入ってみていかがですか?

上白石セリフが同じところも多くて。あとはロケ場所も原作と同じ河川敷で撮ったので、ロケ地に行ったときに、あ、本物だ!って思いました。北千住に行けば、この世界があるんだ!っていうのがすごく嬉しくて。マンガとか『赤毛のアン』とか、遠い場所や架空の場所が多くて、行きたくても行けないことの方が多いのに、空気を吸いにいけるっていうのがすごく嬉しかったですね。早く行きたい!って思いました。世界観がそのまま台本に反映されていたので、びっくりしましたね。

——主人公のブンちゃんを演じるにあたって、どんな役作りをされましたか?

上白石私は原作をひたすら読む派なんです。マンガに描かれている表情や動きを参考にしたり、台本にはないセリフからアイデンティティみたいなものを汲み取ったりとか、そういうことがすごく好きなので、繰り返し、繰り返し読むんです。同じシーンも結構多いので、“こういう顔している”とか、どんどん取り入れながらやっていた感じです。

——このドラマでは食べるシーンがない、寸止めな感じですね。

上白石そうなんですよ。マンガでもそうなんですよね。寸止めはきつかったです(笑)。

——でも実際は食べられたりするんですか?

上白石撮影が終わった後で食べました。美味しかったです! 我慢したから美味しさも倍増している感じがして(笑)。

——このドラマの面白いところは、グルメ番組でよくある、食べて“ん〜美味しい!”みたいなセリフが、実際に食べるシーンではなくて、ブンちゃんの空想の中で発せられるんですよね。

上白石そうなんですよ(笑)。エアでしか食べられないっていう。現場では落語って言われてました、あのシーン。女流落語家、噺家さんだねと。

——なるほどなるほど! 確かにそうですね。

上白石だから私も、それをイメージしてやっていました。

——実際に落語をご覧になったりしました?

上白石はい。実際に落語も観に行きました。落語を舞台にしたドラマを見たりして、これだ!と。

——すごく勉強されているんですね。

上白石私もブンとして、同じような雰囲気をまとって画面にいられたらいいなと思って。それは見る方に判断していただくことなんですけど、私の願いですね。

——自炊にかけるこだわりはすごいですよね。

上白石いや〜、あっぱれって感じですよね(笑)。私も食い意地は強い方ですけど、ブンには勝てないです(笑)。

——上白石さんは自炊されるんですか?

上白石好きです。野菜を切るのが好きです!

——では撮影でもその腕前を披露されたんですか?

上白石危ないからと、あまり切らせてもらえなかったんですけど、後半にいくにつれて結構やらせてもらえるようになりました。カボチャを切ったり、くり抜いたり。カボチャをくり抜くのがすごく楽しかったです。 綿をスポンと抜くんですけど、はまっちゃって…。新しい趣味を見つけてしまいました(笑)。

——ドラマの中の料理の手さばきにも注目ですね。

上白石そうですね……お手柔らかにお願いします(笑)。

上白石萌音さんが好きな本を
電子書籍でチェック!

ホクサイと飯さえあれば 1巻

鈴木小波

講談社

伝説のインドア系ご馳走マンガ、復活移籍新連載!! かつて掲載誌の休刊に伴い惜しまれつつ終了した『ホクサイと飯』。本作『ホクサイと飯さえあれば』は、その8年前のお話。大学進学のため上京した山田ブンが、愛するぬいぐるみ(?)ホクサイと共に、東京・北千住で、いろんな出逢いや経験の毎日の中、アイディア満載のご馳走を作ります! トラブルがあっても、ホクサイがいて、美味しい飯さえあれば、毎日ハッピー!! 第4巻まで発売中。以下続刊。

さがしもの

角田光代

新潮社

「その本を見つけてくれなけりゃ、死ぬに死ねないよ」、病床のおばあちゃんに頼まれた一冊を求め奔走した少女の日を描く「さがしもの」。初めて売った古本と思わぬ再会を果たす「旅する本」。持ち主不明の詩集に挟まれた別れの言葉「手紙」など九つの本の物語。無限に広がる書物の宇宙で偶然出会ったことばの魔法はあなたの人生も動かし始める。『この本が、世界に存在することに』改題。

赤毛のアン―赤毛のアン・シリーズ1―

モンゴメリ (著)、村岡花子 (訳)

新潮社

ちょっとした手違いから、グリン・ゲイブルスの老兄妹に引き取られたやせっぽちの孤児アン。初めは戸惑っていた2人も、明るいアンを愛するようになり、夢のように美しいプリンス・エドワード島の自然の中で、アンは少女から乙女へと成長してゆく――。愛に飢えた、元気な人参あたまのアンが巻き起す愉快な事件の数々に、人生の厳しさと温かい人情が織りこまれた永遠の名作。

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