小学生の頃、読書感想文を書くのが好きで。
自分で言っちゃうんですけど、結構賞をもらってたんですよ

──先日河口湖での結成4周年のライヴを終えたばかりですが、ステージはいかがでしたか?

茜屋会場も野外でやってるようなオープンな感じで、お祭りみたいな感じで楽しかったです。ちょっと雨が降ってたんですけど途中から晴れてきて、最後の曲の時に花火を打ち上げたんです。私たちも本番で初めて見たので感動しました。

──改めて4周年を迎えて思うことは?

茜屋その前のツアーが自分の中で壁だったというか。楽しかったんですけど、スッキリしないというか、自分の中で何かひっかかっていたんです。だけど今回は結成4周年だから、ライヴスタッフさんだったりファンの人だったりメンバーだったり、自分の周りの人に“ありがとう”っていう気持ちでライヴができて、それで自分の中の壁が一つ破れたような気がしてます。

──その壁というのは、成長するための壁ですか?

茜屋そうですね。その前までのライヴでは、自分の中でこうしなきゃ、ああしなきゃって技術面のことで頭がいっぱいになってたんですが、4周年のライヴでは“自分も楽しむ”ということを優先したっていう感じでした。だからすごく楽しかったです。

──では、本題に入りましょう。今日の撮影は普段の様子が見えるようなリラックスした場面もあれば、ちょっと緊張感のあるシチュエーションもありましたね(笑)。

茜屋ちょっと高所からのシーンがありましたね(笑)。ベッドのところでの撮影は本当に普段の自分そのまんまっていう感じで。昨日も今日のためにもう一度本を読み返したりしてたんですけど、さっきみたいにベッドの横の壁に寄りかかって読んでました。家にいるみたいで、撮影中も本当に読んじゃってました(笑)。

──ベッドで読むことが多いんですか?

茜屋そうなんです。一日のやることを全部終えてからベッドに入って、読書灯みたいなちっちゃな灯りをつけて、その中で読むのが好きです。

──本を好きになったきっかけは?

茜屋小学生の頃、読書感想文を賞に出すっていうのがあって、そういうのにすごい出したがりで(笑)。自分で言っちゃうんですけど、結構賞をもらってたんですよ。だから読書感想文で賞を取りたいと思って、とりあえず本を読んで。そしたら見事、本って面白いじゃん!ってはまってしまったんです。小学校の頃、よく本の注文書とかありましたよね? あれで毎回注文して読んでました。

──読むのも好きだけど、書くことも得意だったんですね?

茜屋自分でお話を書くのも好きだったし、文章を書くことも好きだったので、全然苦だと思わず読書感想文書いてましたね。

──その頃から選ぶ本に何か傾向がありましたか?

茜屋今回選んだ本も全部そうなんですけど、俄然泣ける系が多いですね。

──同じ泣ける系でも、今回選んでいただいたものは全部タイプが違いますね。ノンフィクションもあれば、恋愛ものもあり。

茜屋「ママ、ごめんね —あっ子ちゃんの日記—」は実話なんですけど、この本はずっと家に置いてあって、まさに読書感想文を書かなきゃいけないってなった時にこの本を選んで読んだら、すごくいい本だなあって思って。小学校3年生ぐらいだったんですけど、それから今でもずっと記憶に残っていて。でも実家にあって手元になかったんですけど、まさか今回本を用意していただけたなんて感動です。

──小学校3年生というと、この主人公のあっ子ちゃんと近い年齢の頃ですね。

茜屋はい。主人公のあっ子ちゃんは3歳ぐらいの時に白血病になって、その後あっ子ちゃんがつけていた日記をまとめて出版したっていう本なんです。自分が病気で点滴とか受けてすごく苦しいはずなのに、その点滴ですら、試練を乗り越えるための神様がくれたご褒美だ、みたいなことを書いてるんです。こんなに小さいのに、どうしてそんな考え方ができるのか。しかも同じ病院にいる病気の子供たちを励ましたりしていて、どうして自分も苦しいのに、こんなに人のために笑顔でいられるんだろうなって、すごいなと思いました。人として自分もこんなふうになりたいと思いました。

──命の重み、というところで言うと、「世界から猫が消えたなら」もそうですね。

茜屋そうですよね。最近映画化もされた本なんですけど、単純にタイトルにすごく惹かれて買ったんです。「世界から猫が消えたなら」って、読むまでは全然意味が分からなくて。猫好きな人は確かに猫が消えたらすごく悲しいだろうなと思うんですけど、だからってどういうことなんだろうって思って手に取ったら、まさかこんなに壮大な話だったとは!と。読み始めた頃は、面白いコメディ系の要素が含まれてるのかなと思ってたんですけど。

──確かに、最初は軽いタッチでコミカルに描かれてますよね。

茜屋“アロハ柄着た悪魔”とか(笑)。最初、?って思ったんですけど、読み進めていくうちに本当に涙が止まらなくなって。さっき撮影中に読み返した時も泣いちゃって(笑)。

──今までそんな方いませんでしたから(笑)。

茜屋すみません(笑)、本気で読んじゃいました。作者の川村元気さんは元々作家の方ではなくて、だからなのか、本を書く時のルールみたいなものに縛られてない感じがして。だからこそ、すっと心に入ってきたのかなって。すごく命の重みを感じました。

──命と引き換えに何か一つ失うとしたら、茜屋さんは何にしますか?

茜屋わ〜、この本を読んだ後はちょっときついですね。何かを犠牲にするっていうのは心苦しいんですけど……何かを消すんだったら、自分が消えたいと思っちゃうかもしれないですね。

──ほう! それはどうしてですか?

茜屋なんか自分ってあんまりいい人間じゃないなと思ってたんですけど(笑)、いざ何かを犠牲にするって考えると、どうしてもできない!って思っちゃいます。

──ご自分のことをいい人間じゃないと思ってるんですか?

茜屋基本自分のことを好きになれなくて。自分に自信がなくて。それは今もわりと直ってないんですけど。だから何か消すんだったら自分が消えます(笑)。

──川村元気さんは映画のプロデューサーだったんですよね。元々作家ではない、という点では、「すべて真夜中の恋人たち」の作者、川上未映子さんもそうですね。元々はシンガーソングライターの方で。

茜屋そうなんですか?! だからか! 言葉の一つ一つがすごく綺麗だなと思いながら読んでいて。

──あと、ところどころエッセンスのように音楽が出てくる。

茜屋そうなんですよ。知識がすごいなと思ってたんです。そういうことだったんですね。納得しました! 綺麗な作品でしたね、これは。

──この本を手にしたきっかけは?

茜屋これもタイトルと帯でしたね。特に背表紙のあらすじに惹かれて。世界観に入り込めるようなお話が好きで、悲しいんだったらとことんシリアスな方にいっちゃうようなお話の方が好きなんですね。この本はそれをすごく感じました。読めば読むほど入り込むんですけど、あまりに主人公が可哀想すぎて。初めて読み続けるのが苦しいと思った本でもあります。

──内容を紹介していただけますか?

茜屋光と影みたいなのがテーマのお話で。主人公は自分の意思で何も選べない人で、人から言われたことをやる。でも言われたことは本当に真面目にやる。そんな真面目でネガティブな影の存在なんです。そしてもう一人親友みたいな立ち位置の女性がいて、その人は明るくて積極的で仕事もバンバンこなす光のような存在で。その対照的な二人の話もありつつ、主人公と年配の男性との恋愛のお話も入ってるんです。その恋愛もすごく苦しくてなかなかうまくいかなくて。主人公も人とコミュニケーションを取るのが苦手なので、お酒を飲んでいかないと、その人とまともに話もできないみたいな。ネタバレになるのであんまり言いませんが、最後も“えっ?”って思うような展開でした。

──主人公も頑張ってはいるんだけど、いろんな人に「イライラする」なんて言われて。先程、自分のことを好きになれない、なんてお話もありましたが、どこかでこの主人公と茜屋さん自身を重ねてたりしてたんでしょうか。

茜屋そうなんですよ! 重ねてさらに苦しくなってしまって。“ああ、分かる分かる”って思ってました。自分の意思で何かを選ぶって難しいんだなと。私も真面目になりすぎる方なんで、すごく気持ちが分かったし、人にワーッて言えるタイプじゃないので、苦しみもすごく分かった。

──なるほど。今回はそんな3冊のセレクトだったんですね。

茜屋とことん心がキューッとなるようなものばかりですね。そういう本がすごく好きなんです。

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世界から猫が消えたなら

川村元気

マガジンハウス

僕は生きるために、
消すことを決めた。

今日もし突然、
チョコレートが消えたなら
電話が消えたなら
映画が消えたなら
時計が消えたなら
猫が消えたら
そして
僕が消えたなら

世界はどう変化し、人は何を得て、何を失うのか
30歳郵便配達員。余命あとわずか。
陽気な悪魔が僕の周りにあるものと引き換えに1日の命を与える。
僕と猫と陽気な悪魔の摩訶不思議な7日間がはじまった―――

消してみることで、価値が生まれる。
失うことで、大切さが分かる。
感動的、人生哲学エンタテインメント。

プリント版にはない、特別付録「SPECIAL PHOTOBOOK」付き。

すべて真夜中の恋人たち

川上未映子

講談社

「真夜中は、なぜこんなにもきれいなんだろうと思う」。わたしは、人と言葉を交わしたりすることにさえ自信がもてない。誰もいない部屋で校正の仕事をする、そんな日々のなかで三束さんにであった――。芥川賞作家が描く究極の恋愛は、心迷うすべての人にかけがえのない光を教えてくれる。渾身の長編小説。

※『ママ、ごめんね —あっ子ちゃんの日記—』は電子書籍の配信はございません。

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