読み終わった後にモヤモヤする
感じの作品が好きです
現実ってスッキリすることが
あんまりないなと思っているから

──今回、齋藤さんのお薦めの本を3冊選んでいただきましたが、一番好きな作家さんが貫井徳郎さんとのことで。

齋藤そうなんです。貫井さんは昔から好きな作家さんで、今回ご紹介した『微笑む人』は、私が一番最近読んだ本なんです。

──この作品はちょっとモヤモヤが残りますよね。

齋藤ですよね(笑)。そのモヤモヤが残る感じが、私が好きなところなんです。だいたい私はどんよりとした感じがするものを読むのが好きなんですけど、ファンタジー系のような現実ではあり得ないことが描かれているものっていうのがどうも苦手なんです。だから、読み終わった後にモヤモヤしたりとか、結末に納得いかない感じの作品がすごい好きなんです。だって、現実ってスッキリすることがあんまりないなと思っているから(笑)。

──なるほど(笑)。『微笑む人』はどういうところが面白かったですか?

齋藤この作品は物語風ではなくて、モキュメンタリーというか、かなり制限された小説技法の中でのストーリーなんですが、私は読んでいて満足感がありましたね。

──舞城王太郎さんもまた、個性的な文体の作家さんですよね。

齋藤この舞城さんの『世界は密室でできている』は、すごく気分を変えたいなと思った時に読んだんですけど、これは人に薦めていただいたんです。文体も登場人物のちょっとおかしな感じとかも、舞城さんってこういうのを書く方なんだなっていうのがわかって、入口としてはふさわしい作品なんじゃないかと思います。

──人から薦められたとおっしゃってましたが、なんて言ってお薦めされたんですか?

齋藤『舞城さんの文章の書き方が、どことなく飛鳥の書き方に似てるよ』って言われて。読んでみて私はそうは思えなかったんですけど(笑)。あと、伊坂幸太郎さんの『アヒルと鴨のコインロッカー』も人に薦められて読んだ本です。

──そうだったんですか。伊坂さんはいろんな作品が映像化されてますよね。

齋藤実はこの作品も最初に映画を見て、それで原作が気になって読んだんです。伊坂さんの作品って、クズみたいな人間が結構出てくるじゃないですか(笑)。でも、そういう人たちをちゃんと懲らしめてくれるので、そこが結構好きです。

齋藤飛鳥さんが好きな本を
電子書籍でチェック!

微笑む人

貫井徳郎

実業之日本社

エリート銀行員の仁藤俊実が、「本が増えて家が手狭になった」という理由で妻子を殺害。小説家の「私」は事件をノンフィクションにまとめるべく、周辺の人々への取材を始めた。「いい人」と評される仁藤だが、過去に遡るとその周辺で、不審な死を遂げている人物が他にもいることが判明し……。理解不能の事件の闇に挑んだ小説家が見た真実とは!? 戦慄のラストに驚愕必至! ミステリーの常識を超えた衝撃作!

世界は密室でできている

舞城王太郎

講談社

15歳の僕と14歳にして名探偵のルンババは、家も隣の親友同士。中三の修学旅行で東京へ行った僕らは、風変わりな姉妹と知り合った。僕らの冒険はそこから始まる。地元の高校に進学し大学受験――そんな10代の折々に待ち受ける密室殺人事件の数々に、ルンババと僕は立ち向かう。鮮烈!新青春エンタ!! (講談社文庫)

アヒルと鴨のコインロッカー

伊坂幸太郎

東京創元社

大学入学のため引っ越してきたアパートで、最初に出会ったのは黒猫、次が悪魔めいた長身の青年。初対面だというのに、彼はいきなり「一緒に本屋を襲わないか」と持ちかけてきた。標的は――たった一冊の広辞苑。僕は訪問販売の口車に乗せられ、危うく数十万円の教材を買いそうになった実績を持っているが、書店強盗は訪問販売とは訳が違う。しかし決行の夜、あろうことか僕はモデルガンを持って、書店の裏口に立ってしまったのだ! 四散した断片が描き出す物語の全体像とは? 注目の気鋭による清冽な傑作。第25回吉川英治文学新人賞受賞作。

この記事が気に入ったらクリック

SNSでシェアする

このエントリーをはてなブックマークに追加