Jul 22, 2018

インタビュー

なぜいま社会にアートが必要なのか?【後編】 スマイルズ代表・遠山正道×チームラボ代表・猪子寿之

食べるスープ専門店「Soup Stock Tokyo」の創業者であり、ネクタイブランド「giraffe」、セレクトリサイクルショップ「PASS THE BATON」などの多彩な事業を展開する株式会社スマイルズの遠山正道社長。その一方で、アートコレクターやアーティストとしての顔も持ち、株式会社スマイルズが作家として、瀬戸内国際芸術祭に泊まれるアート「檸檬ホテル」を出展している。

これまで「社会にアートのある環境を創出しよう」と挑戦を続けてきた遠山社長と親交の深いアーティストが、チームラボ代表・猪子寿之氏だ。猪子氏は、東京・お台場にまったく新しいデジタルアートミュージアム「森ビル デジタルアート ミュージアム:エプソン チームラボ ボーダレス(以下、チームラボボーダレス)」をオープンさせたばかりで、アートファン以外にも大きな話題となっている。

前編に引き続いて、ふたりの出会いや現代アートへの思い、そして遠山氏が未来を見据えた社会実験的なプロジェクトの構想や、「なぜいま社会にはアートが必要なのか」、そしてふたりにとって「アートとは何か?」という核心に迫るテーマをじっくりと伺いました。

 

──おふたりはかなり仲が良いですね。出会ったきっかけを教えてもらえますか?

遠山 私はちゃんと憶えていますよ(笑)。外苑前で講演会があって、お互い別々に公演していて。終わってから出口で猪子くんを捕まえて、そのまま白金に飲みに行ったんだよね。

猪子 さらにその後、代官山で僕がスピーチした時に遊びに来てくれたんだよね。

遠山 近所に住んでいるからね。それから代官山ロータリークラブで講演してもらって、そのまま餃子パーティーをしたりも。猪子くんが忙しいからなかなか会えないんですけどね(笑)。

──どういう部分にお互いに共鳴し合っていますか? お互いの印象は?

猪子 (遠山さんは)たぶん全ジャンルのクリエーションが好きだと思うんですよね。チームラボだけじゃなくても、ありとあらゆるクリエーションを愛している。

遠山 そのなかでも、チームラボは独自性があるし世界に斬り込んでいて。

猪子 いや、斬り込んでいるわけじゃないんだよ。向こうからどんどん来てくれる。ペースギャラリーもそうだし、この間もオーストラリアでナンバーワンの国立美術館が初めて行う「NGVトリエンナーレ」から直接メールが来て招待してくれて。

 

 

個展の経験から得た気づきは
“自分ごと”にしていくこと

 

──もともとは商社マンだった遠山さんがアートに関わるまでの経歴を聞かせていただけますか?

遠山 父親と祖父はビジネス系ですが、それ以外は芸術家の家系なんです。そういう環境で育ったのもあって、三菱商事に入って10年目の時に、「このまま定年したら満足しないな」と思って、学生時代に絵やイラストを描いていたので絵の個展を開くことにしました。それが私にとって転機になりました。

個展の体験とスープストックのビジネスはすごく重なっていますね。例えば、スマイルズのビジネスには「マーケティングはない」んです。例えば、アーティストは絵を描く際に「何を描けば良いか?」というアンケート調査をして、票数の多いものをテーマに順番に描いていくことなんてしないですよね?(笑)。だって、そこがいちばん重要で、面白いところなんだから。何を想い、どう表現するのか。それこそが価値なのに、そこを委ねてしまったら、そもそもの意味がなくなってしまう。本来ビジネスにも、やりたいことがあるはずなんです。ビジネスは、マーケティングなど外の理由だけでなく、アートがそうであるように、本来持っているはずのコンテクストや自分たちの情熱を元にすればいい。それは、絵の個展で自分で描きたいと思って作った絵が売れて素直に嬉しかったという経験が元になっています。商社勤務の時は、商品も自分たちが作ったものではないので、売れたとしても実感が湧きにくかった。

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