Jun 21, 2018

コラム

藤井青銅とメディアとの関わり(青年編)

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 ぼくが初めて放送の仕事をしたのは、友人に連れてきてもらったラジオ局のニッポン放送だ。…とここにサラっと書いているが、当時のぼくは耳で認識していたので、正式な表記は「日本放送」だとばかり思っていた。
 そして、
(日本放送なんだから、当然名前的にも日本テレビと関係があって、両社は同じグループ内のラジオ局とテレビ局なんだろうなあ)
 と思っていた。素人なんてそんなものだ。

 今は、少し前のライブドア騒動のせいで、多くの方が「ニッポン放送」という表記を知っているだろう。それ以前に「フジサンケイ・グループ」という名前を強くアピールしていたので、
【(テレビ)フジテレビ…(ラジオ)ニッポン放送…(新聞)産経新聞】
 というメディアのグループ化も、多くの方が知っている。
 一方、ぼくが勘違いしていた「日本テレビ」の方は、
【(テレビ)日本テレビ・読売テレビ…(新聞)読売新聞…(ラジオ)ラジオ日本】
 となる。これも有名だ(ラジオ日本はかつてのラジオ関東。ここはあとでグループ入りしたのであまり有名ではないが)。
 いわばライバルグループの企業をゴッチャにしていたのだから、当時のぼくはのん気なものだった。が、世間もまだそうだったと思う。

 ニッポン放送で「夜のドラマハウス」という番組の脚本を書き始めた時は、「宇宙戦艦ヤマト」「銀河鉄道999」「宇宙海賊キャプテン・ハーロック」…などで松本零士の一大ブームだった。
 ぼくが学生の時、松本零士の漫画といえば少年マガジンでの「男おいどん」であり「四畳半」であり「サルマタケ」であり、ぼくたちビンボー男子学生は(自分の境遇を重ねて)みんな大ファンだった。だから、ちょっと意外な気がした。もっとも、一方で「ザ・コクピット」や「インセクト」も読んでいたから、納得もしたけど。

 当時のアニメ声優ブームを演出していたニッポン放送のプロデューサー・ドン上野は、ぼくたち駆け出し作家たちに言った。
「今度、松本零士で『新竹取物語1000年女王』という漫画が始まる。これは産経新聞で連載し、フジテレビでアニメを放送し、アニメ映画を作って劇場公開もし、ニッポン放送ではオールナイトニッポンでラジオドラマにする。キミたちはそれを手伝え」
 いま記録を見ると、産経新聞での連載が1980年1月から、フジテレビでのアニメが1981年4月から、劇場用アニメ公開が1982年3月。ぼくがニッポン放送に出入りしはじめたのが1979年の夏だから、まさにその盛り上げ準備の怒涛の真っただ中に、ぼくは飛び込んだことになる。以来、多くの特番を書かせてもらうことでぼくはたくさん学び、同時に多くの声優さんたちと知り合うことになる。

 この1000年女王プロジェクトを聞かされた時にぼくは初めて、
(ああ、産経新聞・フジテレビ・ニッポン放送…というのは同じグループなのか)
 と認識したのだから、ウブなものだ。そして同時に、
(なるほど、ブームというのはこうやってメディアが盛り上げて作るんだな。そして別のメディアグループは無視するのだろう)
 とも思った。
 ウブのくせにやけに冷静だった理由は、実は小学生の頃に遡る。

 

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藤井青銅

藤井青銅(ふじいせいどう)
23歳の時「第一回・星新一ショートショートコンテスト」入賞。これを機に作家・脚本家・放送作家となる。

書いたラジオドラマは数百本。腹話術師・いっこく堂の脚本・演出・プロデュースを行い、衝撃的デビューを飾る。最近は、落語家・柳家花緑に47都道府県のご当地新作落語を提供中。 著書「ラジオな日々」「ラジオにもほどがある」「誰もいそがない町」「笑う20世紀」「あなたに似た街」「【悲報】本能寺で何かあったらしい……光秀ブログ炎上中! 歴史Web2.0」…など多数。

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