Feb 08, 2018

コラム

裏方ではなく、作家として朝日放送『ビーバップ!ハイヒール』出演

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 大阪に「ビーバップ!ハイヒール」という番組がある。その名の通り、ハイヒール(リンゴ・モモコ)のお二人がMCをつとめる番組で、もう13年も続く長寿番組だ。…ということは、失礼ながら、実は今回初めて知った。関西圏では人気番組だが、関東で放送していないので知名度が低いからだ。
 そういう番組は結構あって、同じ放送局の「探偵!ナイトスクープ」も、実はかつてそうだった。現在は全国的に知名度が高いけれど。

 去年12月、その番組の放送作家のYさんという方から出版社経由で電話があった。ぼくと同じ業種だが、東京と大阪なので面識はない。
「藤井さんの『「日本の伝統」の正体』という本を読みました。面白かったです」
「ありがとうございます」
 出版してからまだ二週間程度だから、かなり早い反応だ。
「私は、大阪で『ビーバップ!ハイヒール』という番組をやってます」
「ハイスクールじゃなく、ハイヒール? ということは、ハイヒールさんの番組?」
 と、ぼくはここで初めて知ったのだ。長寿番組なのに、ゴメンナサイ!
「1時間の番組で、毎回ワンテーマを40分くらい扱います」
「ワンテーマでそんなに! 夜の番組ですか?」
「はい。11時台」
「なるほど。でも、ワンテーマで持ちます?」
「中で、V(VTR)を二本くらい作ります」
「そりゃ、大変ですねえ」

 ありがたいことに、これまでも時々、ぼくの本や企画を面白がってくれた方から番組ゲストや取材の話が持ち込まれる。その何回かの経験でわかったことは、
《放送作家同士の打ち合わせは、話が早い》
 ということ。
 ふだんはぼくも番組を作る側の人間だから、先方の番組説明や、ゲスト依頼の意図、ぼくに求める役割もよくわかるのだ。
「今度、藤井さんの本も使って、『その伝統は本当か?』というテーマでやろうと思うんです」
「なるほど。関西の番組だと、地元の京都は『伝統どころ』ですからねえ」
「そこにゲストで出てもらえますか?」
「よろこんで」

 かくして、年が明けてから、大阪に向かった。放送局は大阪のABC。ぼくはそこで仕事をしたことはない。しかし、新幹線の中で(う~ん……)と記憶の糸をたぐり、
「…あった!」
 と、以前ABC東京支社で制作の番組をやったことを思い出した。
『得するテレビ』という生活情報番組がそれで、渡辺正行さんと島崎和歌子さんが出演していた。その時の、ABCプロデューサーが市川寿憲さんという方。ずっとのちに落語家桂米朝師匠の『米朝よもやま噺』という本を手に取った時、その「聞き手」としてお名前があるのを発見して驚いたことがある。
 解説を読むと、市川さんは番組プロデューサーながら、米朝師匠にとても信頼されていたことを知った。古典芸能に詳しい方だったのだ。ぼくが番組をやっていた時、そんな一面をカケラも見せなかったなあ。

 とはいえ、市川さんは数年前、若くして亡くなっている。その『得するテレビ』という番組だって、もう20年近く昔の話なのだ。
(あれ? そんな古いことを、なんでぼくはわざわざ思い出そうとしてるんだろう?)
 その理由を考えて、ぼくはハタと思い当たった。

 ぼくはこれまで、いくつかの番組からゲストに呼ばれた時、わりと平気で出演していた。理由は、その放送局でいま仕事をしていたり、かつてしたことがあったり、あるいは出演者、プロデューサー、ディレクター、放送作家…などに知り合いがいたからだ。
 しかし今回のABCは、初めて行く大阪の局だ。まったくもって土地勘がない。スタッフも誰一人知り合いがいない。では出演者は…とお名前を見ると、ハイヒール、筒井康隆、江川達也、たむらけんじ、チュートリアル、ベック(すべて敬称略。すみません)。誰一人として面識がない。
「完全アウェイじゃないか!」
 新幹線は新大阪に着いた。

 

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★「初詣」は江戸時代になかった? ★「江戸しぐさ」のいかがわしさ ★神前結婚式は古式ゆかしくない ★「古典落語」は新しい? ★恵方巻は、本当はいつからあったのか? ★アレもコレも「京都マジック」! ★初めて「卵かけご飯」を食べた男とは? ★サザエさんファミリーは日本の伝統か? ……一見、古来から「連綿と続く伝統」のように見えるしきたりや風習・文化。しかし中には、意外に新しい時代に「発明された伝統」もある。もっともらしい「和の衣裳」を身にまとった「あやしい伝統」と、「ほんとうの伝統」とを対比・検証することで、本当の「ものの見方」が身につく一冊。 フェイクな「和の心」に踊らされないための、伝統リテラシーが磨かれる!

 

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藤井青銅

藤井青銅(ふじいせいどう)
23歳の時「第一回・星新一ショートショートコンテスト」入賞。これを機に作家・脚本家・放送作家となる。

書いたラジオドラマは数百本。腹話術師・いっこく堂の脚本・演出・プロデュースを行い、衝撃的デビューを飾る。最近は、落語家・柳家花緑に47都道府県のご当地新作落語を提供中。 著書「ラジオな日々」「ラジオにもほどがある」「誰もいそがない町」「笑う20世紀」「あなたに似た街」「【悲報】本能寺で何かあったらしい……光秀ブログ炎上中! 歴史Web2.0」…など多数。

藤井青銅著「ラジオにもほどがある」(小学館刊)
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