Jan 04, 2018

コラム

『オードリーのオールナイトニッポン』の新年会

→前回までのコラムはこちら

 オードリーの若林さんが、
「このチームは、『なにか作業のある店』の方がいい」
 と言ったことから、ぼくはある発見をした。

 番組で、忘年会や新年会をやることがある。景気がよかった頃は、ビンゴ大会で豪華景品が当たる盛大なケースもあった。が、最近はあまり聞かない。まあ、ぼくが景気のいい番組に加わっていないだけかもしれないけど。
 しかし放送業界の場合、年末は特番や年末進行の録り溜めで忙しく、忘年会なんかやってる場合じゃない。なので、新年会の方が多いかもしれない。
 それにしたって、世間よりだいぶ遅い時期に「いまさら新年会?」というスケジュールで行われることも多い。まあ、この業界、「遅い夏休み」という名目で11月くらいに休む人もいるので、それはどうってことはない。

 ぼくが担当しているオードリーのオールナイトニッポンも、「新年会」を行う。ただし、その「新年ぶり」がひどく、毎年とても遅い。3月や、ひどい場合は桜の季節も終わって、「新年度会」みたいになって開く。
 ある年、その席で若林さんが、
「このチームは、『なにか作業のある店』の方がいい」
 と言ったのだ。
 どういうことか?

 世間の人はおそらく、
「放送業界の宴会というのは、座持ちがよく、盛り上げ上手な人たちが多く、みんなでワイワイやってるんだろう。ましてや芸人さんが参加してるんだから」
 と思っているだろう。実際、そういうケースの方が多い。
 ところが、この番組の場合はまるでそうじゃない。宴会を開いても、座持ちのトークがない。なにしろ、若林さんは「人見知りキャラ」だし、春日さんだって普段はあまり喋らない。芸人らしからぬ二人なのだ。ならば、スタッフが盛り上げトークをするのが普通だ。ところがこの番組のスタッフも、そういうのが苦手で、メンドクサイときている。実はぼくもそうだ。
 ぼくは「ザ・業界」みたいなパーティーや宴会が苦手で、だからその手の会には滅多に出ない。なのにオードリーのオールナイトニッポンの新年会に毎年参加しているのは、「そういう宴会ではない」からだ。

 とはいえ、あまりに静かでみんなが言葉少ない宴会というのは(参加者がそれで満足しているとはいえ)、いささか不気味だ。お通夜じゃないんだから。さすがに見かねた若林さんからの、
「このチームは、『なにか作業のある店』の方がいい」
 という提案なのだ。
 そこで選んだのが、「お好み焼き・もんじゃ焼き」のお店なのだ。
 これなら、みんなが鉄板とヘラでカチャカチャして、ジュウジュウやって、ソースを塗ったり、混ぜたりして、ひっくり返す作業があり、失敗もしたりして、切り分けて……と作業が多く、派手な音もする。なので、静かなぼくたちでも、なんとなく盛り上がっている雰囲気は作り出せるんじゃないか、というわけだ。

 ある年の新年会。ここでもんじゃ焼きを食べて、ぼくはビックリした。

 

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藤井青銅

藤井青銅(ふじいせいどう)
23歳の時「第一回・星新一ショートショートコンテスト」入賞。これを機に作家・脚本家・放送作家となる。

書いたラジオドラマは数百本。腹話術師・いっこく堂の脚本・演出・プロデュースを行い、衝撃的デビューを飾る。最近は、落語家・柳家花緑に47都道府県のご当地新作落語を提供中。 著書「ラジオな日々」「ラジオにもほどがある」「誰もいそがない町」「笑う20世紀」「あなたに似た街」「【悲報】本能寺で何かあったらしい……光秀ブログ炎上中! 歴史Web2.0」…など多数。

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