Jan 10, 2017

コラム

ウンナン×渾身のおバカ企画=?

→前回までのコラムはこちら

 ぼくが過去にやった「くだらない」番組企画を、恥ずかしげもなく列挙している。ウッチャンナンチャンにも、ずいぶん色々やってもらった。

【清貧ディナーショー】
 これも、チャリティー特番の中で行った企画。当時はバブルで、各地のホテルで開催される超豪華なディナーショーが話題になっていた。一方で、「清貧」というキーワードも流行していた。
 そこでぼくは、二つを合わせ「清貧ディナーショー」をやりたいと思ったのだ。出されるディナーは、ほかほか弁当。飲み物は、オフィスの給茶機で紙コップに入れたお茶。テーブルの上には缶詰の空き缶に仏壇のロウソクを立て、これがキャンドル…というディナーショー。まさに、清貧ではないか。

 ただし、ショーの方は本物で、ウッチャンナンチャンがコントとトークを行う。しかも、ディナーショーらしく、司会は超大物の玉置宏さんにお願いした。玉置さんといえば、歌謡曲の華麗な曲紹介で有名だ。そこで、「そのパターンでコント紹介をやってもらえないでしょうか?」とお願いしたのだ。
「面白い」
 と乗ってくれた。さすが大御所は違う。
「ただし、私はお二人のコントを知りませんが」
「大丈夫です。ぼくが曲紹介風にコント紹介の文章を書きますんで」
 というわけで、七五調で書かれたコント紹介の華麗なナレーションに促され、二人は次々にコントを披露した。

 豪華なホテルでのディナーショーに来たつもりで、チャリティーに募金してくださいという趣向。ウンナンも玉置さんも、実に楽しそうに演じてくれた。

【コピーコント】
 これは『ウッチャンナンチャンのオールナイトニッポン』でやった。当時はバンドブームだった。アマチュアバンドはたいてい、自分たちの好きなバンドのヒット曲コピーから始め、そのうちオリジナル曲を作るようになる。モノ作りは、模倣から入ってしだいに個性を出していくのが基本だから、これは理にかなっている。
 もちろん、有名なヒット曲をコピーして演奏するだけでも、お客さんは十分楽しめる。

 ところがお笑い(マンザイ・コント)の場合は違う。プロはもちろんだが、アマチュアでも、いきなりオリジナル・ネタで勝負しなければらないのだ。落語なら、有名な古典落語を演じても誰も文句は言わない。しかしマンザイ・コントは、すでにある誰かのネタをやったら、パクリとか盗作だと非難される。まず模倣から入る、というモノ作りの基本ができないのだ。

 お笑いだって、アマチュアバンドみたいに好きなネタのコピーで楽しんでもいいんじゃないか?…という発想だ。

 そこで番組に、たとえば「私は、爆笑問題のあのネタの、太田さん役ができます」などというハガキを送ってもらう。一方で「私は田中さん役ができます」というハガキがあると、両方を電話でつないで、放送で「せーの」でやってもらうのだ。
 見ず知らずの二人が、この時はじめてネタを合わせるのだ。ラジオなので、セリフは紙に書いていれば忘れない。お互い元ネタをビデオで何回も見ているので、セリフの間は頭に入っている。さながら、初めて会ったミュージシャン同士がスタンダード曲を見事にセッションするように、驚くほど息が合い、コントやマンザイが成立するのだ。

 当時ケータイ電話はない。ということは、夜中に家の電話で、姿の見えない相方に対して一人でボケたりツッコんだりしているのだ。相当間抜けな光景だ。「くだらない」を通り越して、不気味ですらある。事情を知らないご家族が見たら、心配するに違いない。
 しかしこれがとても面白かったのだ。あまりに面白かったので、のちイベントにした。ビデオにもした。

 ああ…、書き連ねていたら、この他にも色々な番組でやった「くだらない企画」を思い出してきた。【日本の心・五番勝負】【リスナー参加・裸婦デッサン大会】【学問の並木道】【リモ子】【会議実況ドラマ】…などなど。こうしてタイトルを並べてるだけで、くだらなさが漂ってくる。

 どれも、考えた時点で我ながら「くだらね~」と思い、スタッフ・タレントさんに提案すると「くだらね~」と言われ、放送したらお客さんにやっぱり「くだらね~」と言われる。これはもう正真正銘「くだらない」企画なのだ。だが、これがたまにプラス評価に転じるから、面白い。
 もっとも、ぼくが「プラス評価」だと思っているだけで、本当は言葉通りの「マイナス評価」だったのかもしれないが…。

 


 

柳家花緑の同時代ラクゴ集 ちょいと社会派

藤井青銅/著 柳家花緑/脚色・実演

現代日本の時事を放送作家・藤井青銅が落語にして、柳家花緑が洋装姿で語った13編。
記憶に新しいニュースネタで笑い、ほろりと泣き、ちょっと考えさせられる。
ORコードで無料動画が楽しめる特典頁付き!
平成の世を落語にするとこんなに面白い!

こんな噺が載ってます!
『大女優』……子役で大ブレイクした女の子を、「身長固定マシーン」で大きく成長しないようにするが……。
『はじめてのおつかい』……小惑星探査機「はやぶさ」を小さな男の子に擬人化。小惑星の「イトカワ」のオバサンのウチにおつかいにいくが……
『ケータイ八景某者戯』……三十代半ばのサラリーマン男性が、居眠りをしている間に自分の携帯電話の中に迷い込んでしまう。そこで、苦悩しているプログラムに出会うのだが……。
などなど、同時代ラクゴを活字で読むもよし、特典QRコード頁で柳家花緑の動画をスマホ・タブレットで観るもよし、マルチメディアでお楽しみいただけます。

藤井青銅

藤井青銅(ふじいせいどう)
23歳の時「第一回・星新一ショートショートコンテスト」入賞。これを機に作家・脚本家・放送作家となる。

書いたラジオドラマは数百本。腹話術師・いっこく堂の脚本・演出・プロデュースを行い、衝撃的デビューを飾る。最近は、落語家・柳家花緑に47都道府県のご当地新作落語を提供中。 著書「ラジオな日々」「ラジオにもほどがある」「誰もいそがない町」「笑う20世紀」「あなたに似た街」「【悲報】本能寺で何かあったらしい……光秀ブログ炎上中! 歴史Web2.0」…など多数。

藤井青銅著「ラジオにもほどがある」(小学館刊)
→電子書籍版

プロフィール詳細を隠す表示する

この記事が気に入ったらクリック

SNSでシェア

このエントリーをはてなブックマークに追加