Jan 05, 2017

コラム

オードリー×渾身のおバカ企画=?

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「くだらない」「なに考えてんだ!」「バカだね」「どうかしてるんじゃないの?」「頭わるそう」「間抜けだなあ」…などという言葉を投げかけられたら、普通はマイナス評価をされているわけだ。一般社会では。
 しかし時に、放送の世界ではこれが「プラス評価」の場合もある。
 過去にぼくがやってきた番組企画で、多くの方に「くだらね~!」と言われたものを、いくつか挙げてみよう。

【納車ショー】
 これは『オードリーのオールナイトニッポン』でやった。
 若林さんはいつも、自分の車に乗ってニッポン放送にやってくる。新車に買い替えれば、当然ニッポン放送の駐車場に初めて入る「納車の日」があるわけだ。その記念すべき瞬間を番組の企画にしたい!と思ったのだ。
 とはいえ、しょせんただの「納車」だ。誰だって、そんなものがショーになるとは思わない。しかも、見えないラジオで。これはもう、言い出した時点で「くだらない」だし、「どうかしてるんじゃないの?」なのだが、やってしまった。

 当日は、くりぃむしちゅー上田さんの運転手としても有名な芸人・浜ロンさんがハンドルを握った新車が、夜の闇の中からしずしずと現れる。その様子を、ニッポン放送の飯田アナウンサーが実況する…という訳のわからなさ。
 しかしこれが、とても面白い放送になったのだ。なにごとも、やってみなけりゃわからない。

【移動むつみ荘】
 オードリーつながり・車つながりで、もう一つ。「むつみ荘」というのは、春日さんが住む風呂なしアパートの名前だ。その部屋の中を、そっくりそのまま再現し、トラックに乗せ、都内を巡回するという企画だ。
 いや、正確には「再現」ではない。だって、春日さんの部屋の家財道具一式(電気炬燵、万年床、本棚、床に積まれた本や雑誌やDVD、壁のカーテン、乱雑に置かれた洋服、食べかけのスナック菓子の袋まで)…をそのまま持ってきてしまったのだ。これはもう、ほとんど「本物」だ。

 これは、輸送を担当した日通スタッフがとてもいい仕事をしてくれた。まず事前に、春日さんの部屋の中の様子を何枚も写真に撮る。家財道具をそっくり運び出したのち、今度はその写真を見ながら、トラックの荷台の同じ位置に同じモノを置いていくのだ。
 もうほとんど、殺人現場を検証する警察の鑑識か、あるいはポンペイ遺跡を再現する学芸員か…という精密さ。

 この「くだらない」企画は『ラジオチャリティーミュージックソン』というチャリティー特番の中で行われた。つまり、「移動むつみ荘」を見る拝観料(?)として、なにがしかのお金を募金してください、というわけだ。
 ガルウイングのトラックの荷台がぐわ~っと開いて、むつみ荘の内部が見えると、観客は喜んで笑ってくれる。興味津々で、部屋の中を覗き込み、写真に撮ったりしていた。究極の個人情報開示タレントだ。
 チャリティー企画というのは、どうしても生真面目になる(それが悪いとは思わないが)。そこをバカバカしく楽しくすることで、多くの方に気楽に参加してもらいたかったのだ。

 ちなみに、この企画にあたって、春日さんには、番組から「布団一式」をプレゼントした。すべての家財道具がなくなってガランとした部屋で、春日さんは数日間、その布団にくるまって生活していた。

 やはり、こういった「くだらない企画」は、ラジオの深夜放送でのケースが多い。続いては、オードリーと同様に、ぼくが長くオールナイトニッポンを担当したウッチャンナンチャンのケースを思い出してみよう。

 


 

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藤井青銅

藤井青銅(ふじいせいどう)
23歳の時「第一回・星新一ショートショートコンテスト」入賞。これを機に作家・脚本家・放送作家となる。

書いたラジオドラマは数百本。腹話術師・いっこく堂の脚本・演出・プロデュースを行い、衝撃的デビューを飾る。最近は、落語家・柳家花緑に47都道府県のご当地新作落語を提供中。 著書「ラジオな日々」「ラジオにもほどがある」「誰もいそがない町」「笑う20世紀」「あなたに似た街」「【悲報】本能寺で何かあったらしい……光秀ブログ炎上中! 歴史Web2.0」…など多数。

藤井青銅著「ラジオにもほどがある」(小学館刊)
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