Nov 16, 2016

コラム782

その裏にトム・クルーズの存在あり
俳優・池松壮亮が生まれた日

sasaki-top

コラム 佐々木誠の『映画記者は今日も行く。』第12回

『ジャック・リーチャー NEVER GO BACK』の来日記者会見が11月8日、ザ・ペニンシュラ東京で行われた。
会見には、エドワード・ズウィック監督、主演のトム・クルーズが出席したほか、スペシャルゲストとして、同監督作『ラスト サムライ』でトムと共演した池松壮亮が登場した。

 

「俳優になるとは思ってなかった」

今やスクリーンでその姿を見ない日はないくらい、獅子奮迅の活躍を見せている池松壮亮。

元劇団四季の女優である姉の影響で、『ライオンキング』の子役オーディションに参加し、見事合格を果たしたという経歴を持つ池松だが、本来は野球一筋で、俳優になろうとは思ってもいなかったようだ。

しかし、あるハリウッドスターとの共演が彼の人生を変えた。

トム・クルーズである。

 

ikematsu-02

 

2003年に公開され、日本でも興行収入137億円を記録する大ヒットとなった、エドワード・ズウィック監督による『ラスト サムライ』。
その中で、当時まだ13歳だった池松は、トム・クルーズ演じる主人公【ネイサン・オールグレン大尉】と心を通わせる少年【飛源】を演じた。

今回、2013年公開の『アウトロー』(クリストファー・マッカリー監督)の続編となる『ジャック・リーチャー NEVER GO BACK』で、新たに監督を務めたエドワード・ズウィックと主演トム・クルーズの『ラスト サムライ』コンビがそろって来日し、記者会見を開催した。

会見の中でトムは、映画というものに対して、「映画は仕事じゃないんです。僕は4歳の時から映画が好きで好きで、それからずっと映画というものに情熱を持ってきました」と語ると、共演者に求めることについては、「僕は何年も休みをとってないですし、それが好きでもあるんです。僕と一緒に働くなら、同じように情熱を持ち、全てを捧げてくれる方じゃないとダメ。情熱をシェアできる方じゃないと」と、自身の熱い想いを吐き出していた。

その情熱が湧き上がるのはひとえに、“観客を喜ばせたい”という、純粋なる想いひとつからだった。

そんな中、スペシャルゲストとして、池松壮亮がステージに登場。2人と固い握手を交わし、13年ぶりの再会を喜び合った。

『ラスト サムライ』の撮影時を振り返るズウィック監督とトムをよそに、「あんまり覚えてない(笑)」と、苦笑いを浮かべる池松だったが、「2人に出会ってなかったら東京に出てきてないでしょうし、2人に出会えたことで僕の人生は変わりました。ずっと指標としていますし、2人のおかげでまだまだやっていけると思えるんです」と、感謝の言葉が尽きない様子だった。

 

ikematsu-01

 

現在、若手実力派俳優として注目を集めている池松だが、トムにとってそれは別段驚くようなことでもなく、「彼が今、素晴らしい演技をしていると聞いても驚きません。あの時(『ラスト サムライ』)から素晴らしかったですから」と、13年前から池松の俳優としての素質に光るものを感じ取っていたようだ。

言い換えるならば、13年前のあの時からすでに、トムにとって池松は、「情熱をシェアできる人」だったのかもしれない。

トムの情熱に感化され、俳優という職業に目覚めてしまった池松。そこからの彼の仕事ぶりは周知の通りだが、何故彼はここまで注目を集めるようになったのか、俳優・池松壮亮の魅力とは一体何なのだろうか。

『デスノート Light up the NEW world』で共演した東出昌大は以前、池松のことを「色気がスゴイ」と評していた。

今の映画界には、小栗旬や山田孝之、綾野剛、森山未來、染谷将太、菅田将暉ら、“演技派”、“実力派”と呼ばれる若手俳優たちが多数名を連ねているが、その中でも池松壮亮という俳優は異彩を放っている。

彼のセリフ回しは、聞く人によっては棒読みに聞こえてしまうことがあるし、感情の起伏があまりなく常にボーッとしているように感じてしまう場合もある。 だが、彼の演技を見る上でそういった部分は特に重要ではなく、池松壮亮という人間がそこに存在しているだけで、作品に意味をもたらしてくれるというか、作品に色をつけてくれる、そんな稀有な俳優なのだ。

例えば、『MOZU』シリーズでは、【新谷和彦】と【新谷宏美】という、殺し屋の双子兄妹を演じ分け、時には、『バットマン』のジョーカーを彷彿とさせるようなイカれた殺人ナースに扮装し、冷たい狂気の中にも、ある種の女の色香を漂わせていた。

一転、『デスノート Light up the NEW world』では、世界的な名探偵【竜崎】を演じ、天才であるがゆえの高圧的でわがままな言動や行動で、周囲の人間を振り回していきながらも、きちんと事件を解決へと導いていくなど、今度はカッコイイ男の色気を漂わせていたものだ。

次はどんな役を身に纏い、スクリーンに存在してくれるのか。今後も目が離せない俳優、いや、目を離してはいけない俳優、それが池松壮亮である。

『ジャック・リーチャー NEVER GO BACK』を鑑賞し、「今回の作品も素晴らしく、ひけらかさない正義というのは、『ラスト サムライ』と通じるところがあると思うので、日本人はみんな共感できると思います」と感想を述べ、エドワード・ズウィック監督&トム・クルーズのタッグに、改めて特別感を抱いていた様子の池松だった。

 

映画『ジャック・リーチャー NEVER GO BACK』(東和ピクチャーズ配給)

リー・チャイルドによる小説「ジャック・リーチャー」シリーズを実写映画化した、サスペンス・アクション『アウトロー』の続編となる作品。

監督:エドワード・ズウィック
脚本:エドワード:ズウィック、マーシャル・ハースコビッツ
出演:トム・クルーズ、コビー・スマルダース、ダニカ・ヤロシュ、ロバート・ネッパー ほか

TOHOシネマズスカラ座ほかで全国公開中。

http://www.outlaw-movie.jp/

佐々木誠

「日刊 情報プレス」編集者 (有)情報プレス社が発行する「日刊 情報プレス」は、映画業界のニュースやイベント、興行成績、劇場公開情報など、映画に関する様々な情報を掲載。

また、Facebookページでは、【情報プレスα】(www.facebook.com/joho.press.jp)として、映画の舞台挨拶やイベントの模様を面白可笑しく掲載中。日々アップしている。

プロフィール詳細を隠す表示する